メイマーツインズ

凶悪のメイマーツインズのレビュー・感想・評価

凶悪(2013年製作の映画)
4.1
《すべては、ある死刑囚の告白から始まった。》

”狐狼の血〟の白石和彌監督の出世作であり、山田孝之、ピエール瀧、リリー・フランキーといった超個性派俳優の競演で描く戦慄の社会派サスペンス。ソフト所有で再鑑賞。

この作品は、実際に起きた〈上申書殺人事件〉を基にした物語で、凶悪事件に取り憑かれたジャーナリストが死刑囚の告白を辿り驚愕の真相に迫っていく。

ジャーナリスト・山田孝之、死刑囚・ピエール瀧、死の錬金術師”先生〟と呼ばれた男・リリー・フランキーといった3人の個性の激しいぶつかり合いが圧巻!白か黒では括れない人間の本質に迫っている。

人間はどこまで凶悪になれるのか。
誰もが凶悪になりうるのか。

白石和彌という映画人を初めて知ることになった作品であり、”日本で一番悪い奴ら〟”狐狼の血〟へとより洗練され、よりパワフルになっていく演出のスゴさには脱帽。
自分が思うに、演出力においては現在の日本では最高の監督の1人ではないだろうか。

凶悪事件の真相と共に現代社会が抱える闇に切り込んでいて、
”新聞記者〟と”冷たい熱帯魚〟といった両傑作の要素を併せ持つ社会派サスペンスの問題作。
ピエール瀧の個性と才能がこのまま潰れてしまうのは惜しい…
再起を期待したい!