ねぎおSTOPWAR

火車 HELPLESSのねぎおSTOPWARのネタバレレビュー・内容・結末

火車 HELPLESS(2012年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

宮部みゆきさんの小説ですね。確か「レベル7」読んでこちらも読んだ記憶あり。ただ宮部さんよりは東野圭吾さんだし江戸ならなんたって鬼平好きなわし。

最近観たのは「ゴールデンスランバー」(伊坂幸太郎)、今度楽しみなのは「バーニング」(原作は「納屋を焼く」村上春樹)。小説読んで、辛いのを想像しちゃってどうしても観る気になれていないのは日韓ともに「さまよう刃」(東野圭吾)。だって娘を持つ父親として興奮しすぎる気がするんです。
その他にも日本の原作が韓国で映画化される例が目立つようになってきた昨今ですが、みなさんはどう感じているのでしょうか。
わたしは現状ちょっと肩すかしな気分。韓国はオリジナルの方が面白い?

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火車、小説と色合いが違いましたね。悪いことではなくて、それは脚色・演出ですし、それが楽しみ。敬意を失わず作ればいいんです映画として面白ければ。

映像はトーンをグンと落とし、とてもいい感じ。突然いなくなる女性がキム・ミニって最高じゃないですか!「ひょっとしていいもの観ているんじゃないか?」とわくわく!!
・・あれっ?・・・あれっ?

【好意的な解釈】
・・を試みれば、キム・ミニの内面と演技はとても切ないもので、見事な表現!
一度リストのもうひとりへと向かわせておいての動物病院の顧客リストアイディアはお見事だと思うんです。
ラストの
「幸せな生活をしたかったの・・」
「俺を愛していたのか?」
・・一瞬おいて首を横に振るキム・ミニ
エスカレータで「おかしい」と感じ、表情を硬直させた彼女が彼を見つけた時の驚き。
そこまで自分に執着していた(愛していたと言えるかはともかく)彼。ここで「愛していた」と言ってしまったら彼をとんでもない方に巻き込むことは想像できる。
本当の悪魔なら、「愛していた」と言って逃走に利用すればいいわけで。もう怪しさをまとった彼女ならではの演技!

でもなあ、そうならば、途中の殺人を含めて、もう少し説明と言うか背景が描かれていていいですよね。うーん、原作に引っ張られてしまった頭がダメなのか・・。

【否定的な見方】
主人公替えました。
エンディング替えました。
当然に構成を変える中、生かすエピソード、人物の設定などを詰めたのでしょうが、チャン・ムンホ(イ・ソンギュン)を主人公化する際の破たんがあったように思うんですよね。破たんは言い過ぎかな、でも自分の本心を確かめ、人生の決断を下すことに、とても優柔不断でただ感情が爆発しているだけの男に見えてしまう。周囲の辻褄のためにそうなっているわけですよね。カン・ソニョンというかキム・ミニさんの役の真相に少しずつ迫らなくちゃいけないわけですよ。じわりじわり→それはつまりウジウジ。
本来の主人公本間俊介=キム・ジョングン(チョ・ソンハ)は同時に影を薄くしなくちゃいけない。だから原作が少なからず生きると、逆にこの元刑事がモノ足りない。
難しいですね、脚色って。
ならばいっそ院長がほぼ自力で探すとか、仇として彼女を殺したい男と一次的に協力するが、最後彼女を巡って対立しちゃうとか。・・言うほど簡単じゃないですけど、この作品はなんかもったいなさが残ります。