マグロ

ミカエルのマグロのレビュー・感想・評価

ミカエル(1924年製作の映画)
3.6
【唯美性と同性愛】
やっと静かに死ぬことができる。私は偉大な愛を見たのだから。

巨匠画家ゾレは若く美しい画家ミカエルを寵愛し、モデルとして庇護下に置いていた。
ザミコフ侯爵夫人の肖像を手がけるゾレは彼女の美しい瞳を描くことが出来ずにいた。しかし、ザミコフ侯爵夫人に恋をしたミカエルは彼女の瞳を見事に描く。
その後ミカエルと侯爵夫人は愛し合うようになり、ミカエルの心は次第に離れていく……。

ドライヤーの中でもとりわけお耽美。
ドイツ製作なので、唯美主義的なセットが非常に美しい。
ゾレとミカエルと侯爵夫人三者のキャスティングも見事。
セットや美術、役者を最大限活用して傑作を撮れたならそれは監督の力量だとは思うが、それはそれとしてドライヤー感薄い。

ラストシーン、ベッドで死にゆくゾレと、ベッドで侯爵夫人と戯れながら眠るミカエルの対比は最高でした。

自らも同性愛者であったヘアマン・バングの半自伝小説の映像化。
それ以前にはマウリツ・スティレルが「翼」(1916)中で映画内映画として、ミカエルを映像化している。
マグロ

マグロ