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エンディングノートのdm10foreverのレビュー・感想・評価

エンディングノート(2011年製作の映画)
4.0
【きちんと死ぬということ】

この作品を知ったのは、もう結構前の事だった様な気がする。
確か劇場に何か別の作品を観に行った時に流れていたCMの一本がこれだったような・・・違ったかな?

この作品は、ある一人のサラリーマンがガン告知を受けてから亡くなるまでを実の娘が撮り続けたドキュメンタリー。
セオリー通りに行けば、徐々にウエットな方向に進んで行って・・・ってなものかもしれないけど、どうもそんな感じはしない(いや、悪い意味ではなく)。
なるほど、この作品を撮った砂田麻美さんはかつて是枝監督の下でスタッフとして参加された経験をお持ちとか(加えて本作では是枝さん自身もプロデュースに名を連らねている)。
「人」を写すことで、その中にあるものを引き出すというニュアンスにどこか是枝さんっぽい雰囲気を感じるたのはそのせいかもしれない。

このドキュメントの主人公である砂田知昭さんは、とにかく「真面目」を絵に描いたような人物。
まさに昭和の時代を生き抜いた「ザ・サラリーマン」だ。
そんな彼が長年勤めあげた会社を退職し、さてこれから第二の人生を・・・という矢先にまさかの胃癌発見(しかもステージ4)。

そこから、彼は「段取り上等」と言わんばかりに、周りに迷惑をかけないよう、そして自分自身が納得できる「キチンとした死」を迎えられるように、エンディングノートを作成し忠実に実行していきます。
でも、彼が立てた計画通りに進んでいくということは自分自身のリミットに向かっていくという現実でもあり・・・。

ここに出てくるご家族は必要以上に砂田さんに安静や療養を勧めません。
それは別にご本人と仲が悪いとかそういうことではなく、最期まで本人が納得行く形でやらせてあげたという共通の思いがあったからでした。

・・・でもね。
キッチリしたお父さんがどこかコミカルにすら見える分だけ、お父さんなりに現実を必死に受け止めようとしている姿や、残される家族(特に奥さん)のことを案じて色々手配していたりするのが垣間見えると、何だかドキっとしてしまうんですよね。

何かに対して声を荒らげるでもなく努めて冷静な方が、一生懸命「不器用に」伝えようとする想い。

自分自身の命にゴールが見えたとき、「やりたいことリスト」を書き出して実行するのも構わないと思う。
それも人生だから。
でも、やっぱり残していく家族の事が気になって自分の事なんか二の次で・・・っていう人も居るかもしれない。
何にしたって、最期くらいやりたいようにやればいいさ。
天国に後悔を持っていったって仕方ないんだから。

エンディングノートか・・・・。

僕は誰のために何が出来るだろうか?


あと、映画とは関係ないんだけど、ちょっと浮かんできた事があるので、フィルターかけて残しておこうかな・・・。
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