わしかずまの中の人

殺人の告白のわしかずまの中の人のレビュー・感想・評価

殺人の告白(2012年製作の映画)
3.8

日本の殺人犯の手記📙で有名なのは、少年Aの絶歌。
胸糞成分多めの内容で、成人した彼がのうのうと暮らしていると思うと、少年法をはじめとする日本の司法制度に懐疑的にならざるを得ません。

【あらすじ】
10人の女性が殺害されたヨンゴク殺人事件。
刑事のチェ・ヒョングは、犯人を追い詰めるも、取り逃してしまう。
そして17年後という時効成立後に、イ・ドゥソクと名乗る男が事件の犯人だと告白。
「私が殺人犯だ」という本を出版、ベストセラーに。
一躍スターとなったドゥソクだが、彼を巡り様々な出来事が起こる。

【事前情報】
韓国の殺人罪の時効は、2007年に15年から25年へと延長され、2015年に時効は廃止された。
また今作は、ポン・ジュノ監督作品「殺人の追憶」と同じく、華城連続殺人事件をモデルにしたと言われている。
この辺の控訴時効についての流れや、殺人事件についての捜査の問題点などは、日本でも共通していますね。



👇以下、ネタバレ含みます👇
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【所感】
鑑賞前はサスペンス映画だと思っていましたが、実際は韓国映画お得意のオーバー(リ)アクション映画でした😇
これ分かってて観たら、普通に面白いと思います。

殺人犯と名乗るドゥソクと遺族達の攻防は見もので、いい意味で韓国アクション映画感が出ていたと思います。
カーチェイスの分かりやす過ぎるCGと、非現実的過ぎるアクション。
これが中々クセになるんですよ☺️

一応、サスペンスというか、スリラー的要素は終盤の展開で存分に発揮される。
ドゥソク、ヒョング、Jの攻防、騙し合い。
サスペンス映画として観るなら、ここだけでいいかも。

そしてこの映画では、ヘビ🐍と鏡🪞がよく出てくる。
韓国では、「腹で思っていることが違っている人」の事を「ヘビのような人」と表現するそうで、ここから今作のヘビ登場シーンの多さが説明できそうです。
鏡に関しては、やはり自分自身が写るという事で、ドゥソクの整形やら、ヒョングのゴーストライター的なメタファーになっているかと。
そして、ヘビも鏡も神秘的なイメージがあり、シリアルキラーであるはずのドゥソクがスターとして扱われる、ある種の神格化される描写の意味づけになっている気がする🙄

【まとめ】
ある意味、韓国映画らしい作品で、個人的には安心して観る事ができました。
ガンスクの凄腕ボーガンや、無駄に長いカーチェイスのシーンも、韓国映画には必要なのだよ。
今回の作品では、"控訴時効"という社会問題が背景にあって、それを韓国映画成分満載で描いている。
重いテーマを扱っているはずなのに、肩の力を抜いて鑑賞できるのは、良い事なのかもしれません😌