氷雨水葵

キャプテンハーロックの氷雨水葵のレビュー・感想・評価

キャプテンハーロック(2013年製作の映画)
3.5
2022年リライト81本目

福井晴敏の脚本最高です

◆あらすじ
宇宙全体へ散らばった人類はやがて地球への帰還を願うようになった。しかし、人口は5000億を超え限られた居住地を巡ってカム・ホーム戦争が勃発。

長く続く戦乱に終止符を打つべく誕生した統治国家ガイア・サンクションは、地球を聖地と定め一切の立ち入りを禁止した。

それから100年――ガイア・サンクションに反旗を翻したのは、全宇宙で広域指名手配されている男。不滅の肉体を持ち、デスシャドー級4番艦アルカディア号の船長キャプテンハーロックだった―――。

◆感想
こういうフルCGアニメーションを観ると、のちに制作された『劇場版 聖闘士星矢 LEGEND of SANCTUARY』を思い出す!こちらも配信になかったのでレンタルして再鑑賞。やっぱりフルCGってきれいですね~髪の毛一本一本から、瞳や表情、アップになったときの顔のシワにいたるまですべてが繊細に描かれています。荒牧伸志監督がメガホンをとっているし、脚本が福井晴敏とあれば何一つ不満要素はないです!ただ、芸能人じゃなくてちゃんとして声優を起用してほしかったところ…。

序盤の、ダークマターエネルギーに包まれて姿を現すアルカディア号かっこよすぎない!?見た目完全にゴーストシップやけど、あのロマンのある色味やデザイン、雰囲気がたまらない!こういう作品でよく見るインスキップ航法(銀英伝だとワープだけど)ってロマンを感じませんか。いつまでも宇宙そのものにロマンを感じている私…専門用語とか聞くといろいろ掘り下げたくなります。作品全体のダークな質感もたまらないぃぃ!!キャラクターが歩いてカツカツ音するだけでも好きやのに。

『APPLESEED アップルシード』もそうでしたが、とにかく細かいところまでしっかり描写されてるのが素晴らしい。ナミがいる温室や元老たちがいるガイア・サンクションなど。キャラクター性も個々にあって、松本零士原作のハーロックを知らなくても、楽しめると思います。ただ、やっぱりSF色が強い(ほぼSFやけど)ので専門用語や世界観に入り込める人はぜひ!あと、原作よりはるかに緻密に描かれているので、それを許せる人は観てください(笑)

キャラクターでいえば、森川智之さん演じるイソラの気難しい性格いいですね!森川さんだからこその演技というか、かつては優しく、けど今はヤマを憎んでる、この演じ分けが素晴らしい。ナミを演じた坂本真綾さんとの距離感もよくて、ふたりとヤマに何があったのかという部分は、お二人の演技によってより切なく感じます。
てか、脇役でちょいちょい安元洋貴さんのお声聴こえてくるの最高。ケイを演じた沢城みゆきさんの演技も好きやし、浜田賢二さんや大塚周夫さん、上田耀司さんや有本欽隆さんなどベテラン勢もいらっしゃるぅぅ…至高💛

ガイア・サンクションとの戦いを描くのと同時に、イソラとヤマ、ナミ3人の物語、時の結び目をほどくハーロックの物語でもあります。いろんな思いが交錯して、壮大なストーリーが出来上がってると思うと胸がきゅんってなります。かつてのハーロックが今のヤマとそっくりでドキっ。そしてイソラに顔を撃たれてヤマがハーロックみたいになってるのにもドキっ。

イソラとナミのシーンは切ないなぁ…当時映画館で観たときは泣きそうでした。冷徹な雰囲気を出しつつもナミのことをちゃんと想っているイソラ、そしてイソラの優しさに応えようとするナミ、ふたりのお姿にうるっと。
ノイエ版銀河英雄伝説のアンネローゼもそうでしたが、坂本真綾さんはこういう透き通った女性キャラ多いですね!?そしてとにかく儚いお声の印象があります。

ハーロックが銃剣(カットラスかな)で躍動してる姿かっこよかったです!
氷雨水葵

氷雨水葵