マイノリティ

それでも、愛してるのマイノリティのレビュー・感想・評価

それでも、愛してる(2009年製作の映画)
3.7
良かったです!

ジョディ・フォスター監督、出演作で、ある家族の再生物語です。

父親の跡を継いで玩具メーカーの二代目CEOとなったウォルター・ブラック。
ある日突然、彼は何もやる気が起きなくなり酒を飲み毎日寝てばかりの生活になります。

ウォルターの妻メレディスは彼女なりに夫を愛しているのですが、そんな怠惰な夫の姿を二人の息子にも見せたくないウォルターをホテルに住まわせます。

自殺しようとするも失敗。
カウンセリングや自己啓発本、薬等色々試したのですが効果は得られず二年の月日が流れました。

ある日ウォルターはゴミ箱からある人形を拾います。
それは薄汚いビーバーでした。

そのビーバーを手にした途端、最早廃人寸前のウォルターが別人のようになり・・・。

ビーバーの人形は日本で言う腹話術師が使うような仕様になっていて下から手を入れ口を動かす物です。

今作が面白いのは、このビーバーが喋るのはウォルターの幻聴や彼だけに見える妄想ではなく、実際にウォルター自身がビーバーの口を動かしながら喋るというものです。
そしてウォルター自身と"ウォルターの口を借りて喋るビーバー"とは乖離していて、いわば多重人格の症状みたいな形です。

そんな父の姿を彼の長男は認めようとはしません。
憎み、変人扱いしています。
妻は夫を愛しているのですが、やはり"夫は狂ってしまった"という戸惑いを隠せません。

側から見ると確かに今までの生活とは一変、生まれ変わったかのようなウォルターですが何処へ行くにも彼の手にはビーバーが居ます。

僕も観ていて、そんな父親の姿を受け入れるのは容易では無く家族が止めて欲しい。と思う気持ちも分かります。

体の怪我や病なら治療も出来るだろうし理解も出来ます。

しかし今作のようないわゆる"心の病"を持つ人にどう接すればいいか分からないんだろうな。と思いました。

見た目は変わらないのに、理由も分からず突然何もかもやる気が起きなくなる。

症状の度合いはあれど、この病は本人に限らず家族にも多大な影響を与える深刻なものだと思いました。

テーマは重いですが、ウォルターを演じたメル・ギブソンがバシッとキメたスーツで左手にはビーバーという姿が中々チャーミングで観やすかったです!

夫や息子たちを愛し、夫の変な行動を何とか理解し、受け入れようとする献身的なウォルターの妻メレディスを演じたジョディ・フォスターも良かったです!

他にもウォルターの息子を演じたアントン・イェルチン、ジェニファー・ローレンス等個性的なキャストが今作を盛り上げます!

今作はジョディ・フォスター監督の思う「家族愛」を感じた気がしました!