Goohana

永遠の0のGoohanaのレビュー・感想・評価

永遠の0(2013年製作の映画)
4.5

ふと観返したくなって、久しぶりの鑑賞。

大好きな作品と言うと語弊があるので
大切な作品と言った方が正しいですね。
初見時は涙腺崩壊してあまりの衝撃にしばらく引きずった記憶があります。
何度観てもやっぱり泣ける。

現代に生きる健太郎達が、臆病者と非難されていたゼロ戦パイロットであり、実の祖父であった宮部久蔵の過去を調べ進めていく事で、彼の人物像や今まで語られていなかった真実が徐々に明らかになっていく。

健太郎の居る現代パートから宮部の居た過去の時代を回想する形で物語が進んでいく構成になっているので、かつての戦友達が宮部との思い出話をする現代パートが加わる事で、登場人物の相関図が整理しやすく、また、健太郎達の心情の変化も分かりやすかったです。

戦闘シーンの映像技術は迫力があって、特に空中戦での場面は迫り来る敵機との攻防戦に強い緊張感を感じられる。

グロいシーンはあまり無かったものの、
精神をえぐられる様な辛い描写はあるので
いかに戦争が惨たらしく無意味なものであるのかを改めて痛感します。

生きたいと願う事が許されず、国の為に命を懸け、戦争に人生を捧げるのが悲しくも当たり前であったあの時代に、
『どんな時も最後まで生き延びる努力をしろ』と、一貫して「生きて還る」事だけに強いこだわりを持っていた宮部が何故、特攻を志願したのか。

敵艦へ突き進む最後の場面、宮部の苦痛に歪む顔から笑った様にも見えるあの表情は一体何を意味し、あの瞬間何を想っていたのか。
結局、作品を通して明かされる事がなかった最大の謎ではあるんだけど、きっと観る人によって感じ方や解釈は違うんだろうなぁ。

私には、ようやく終われる...ようやく(家族の元に)還れる...といった安堵の表情にも見えました。

岡准の演技力、本当に凄かったです...

また、物語の最後にゼロ戦に乗った宮部が現代の空に現れるシーンに関して、当時は健太郎が見た幻影だと思い込んでたけど、ある考察では敵艦に激突する瞬間に宮部の意識は時空を飛び越え、現代の平和な日本を見に来ていたのでは...という内容を見かけて、なるほど。それだったらラストの安堵の微笑みにも繋がる。と思いました。

公開当時は「特攻を美化している!」「戦争に賛美している」と色々言われていた作品だったけど、私はそうは思わなかったし、先人達から受け継いだ命と平和な日々を大切に無駄にしないこと。
何があってもあの悲惨な出来事を忘れてはいけないということ。
そう強く思うきっかけになった作品でした。
Goohana

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