矢野竜子

世紀の光の矢野竜子のレビュー・感想・評価

世紀の光(2006年製作の映画)
3.8
近代批判、風刺とも取れる内容で
印象的なカット多し。

人間の銅像と仏像がモンタージュ的に
並べられたシークエンスが印象深い。

また中盤、テクノロジーが
発達した近代においても
科学的根拠のないスピリチュアル系の
話がでてくるが、
こちらの思いを見透かしているかのような
カメラを1人ガン見するおばさんが登場する。
じっとりしたカメラの動きとともに
何とも言えない印象を残す。

終盤、何のために使われるかわからない機械が
置いてあるよくわからない部屋一面に
靄がかかっているが、そんな靄も
ブラックホールのようなダクトに
吸い込まれていくイメージカットが
登場する。

この際の靄はよくわからないもの、
科学的根拠のないものの象徴ではないか。

よくわからないものをよくわからないまま
にするのではなく、排除しようとする、
説明しようとすることが
イメージとして語られていたように思う。

靄を無くすことが果たして正しいことと
言えるのだろうか。

そして私もよくわからないものを
わからないままにするのではなく
必死に理屈をつけ頭の中を整理しようと
しているのであった…