シラトリーヌ

情愛と友情のシラトリーヌのレビュー・感想・評価

情愛と友情(2008年製作の映画)
4.8
自分的にはかなり面白かった!信仰というものを通して人間の深いところを抉るようなシャープな視点で描かれたストーリーを生身の人間が演じることですごく生き生きしてくるし、ロケ地も役者も美術も衣裳も音楽も、全てが優美でなんとも美しいので134分の尺も短く感じたくらい。

繊細で可哀想な役をやらせたら右に出る者はいないベン・ウィショー 演じるセバスチャンの浮世離れした美しさと脆さよ…。そして主人公のチャールズを演じるマシュー・グードは正統派なイケメンという感じでもはやマネキンかと思った 笑。ヘイリー・アトウェル演じるジュリアのグラマラスで健康的な美しさも細ーくてか弱い兄セバスチャンと良い組み合わせ。とにかくメインの役者全員が繊細で微妙な所作から一気に感情を爆発させる時の振れ幅が大きい演技ができる人達で構成されているのでとても見応えがある。

計り知れない神への信仰に支配された貴族の一家が異常なように見えて実は無心論者のチャールズが一番冷徹というか、彼はあの一家に出会って人として大切な何かを失ったのか、それとも最初から持ち合わせていなかったのか…。終始哀しみが漂っていていろいろ考えさせらる上質な作品だと思う。

つーか邦題なんとかしてくれよ…。