ふじこ

バービーのふじこのネタバレレビュー・内容・結末

バービー(2011年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

知的障害を抱える父と、バービー人形になりたくてお洒落に余念がない、良く言えば調子の良い病弱な妹スンジャの面倒をみながら少女スニョン。

民宿を切り盛りし、自ら作ったストラップを売り歩き、貧しいながらも家族一緒にいる事に幸せを感じている姉とは違って、妹はこんな貧乏生活から抜け出して華やかに生きたいと願っている。

ある日スニョンを養子にしたいとアメリカ人の資産家らしき人がやってくる。
如何にもチンピラ然としている叔父の紹介だった。
そのアメリカ人は娘を連れて来ており、彼女の名前はバービー。
アメリカ人の父は彼女と仲良くなってはいけないと言うものの、言葉が通じないながらもスニョンと仲良くなっていく。
妹のスンジャはアメリカで夢の生活がしたい為、嫉妬心丸出しでアメリカ人に気に入って貰おうと取り入り、姉のスニョンは家族で暮らしたいから養子には行きたくないと断る。

バービーと仲良く過ごすスニョンを見て、アメリカ人は妹のスンジャを養子に連れて帰る事に決めた。
大喜びのスンジャ、わたしがアメリカで働いて仕送りしてあげるから、と態度も良くなる。
小狡い感じのするスンジャが好きではないバービーは嫌がるものの、父の電話を盗み聞きしてしまう。
バービーには心臓の悪い妹が居て、養子のためではなく心臓移植の臓器として連れて帰るのだと。

衝撃を受けるものの、実の妹のためだと無理矢理気持ちを押し込める。
チンピラの叔父は上機嫌の妹スンジャに、アメリカに行っても俺を恨むなよ、と言い含める。
ここで叔父は全てを知っていて売り飛ばすのだと分かるが、事情を何も知らないスンジャは”ありがとう、叔父さん!”と満面の笑み。

アメリカに連れて行かれる日、黒いドレスを着て暗い表情のバービーはスニョンにそっと手紙を渡して去る。
走り去る車を見送り、手紙を開けてみると一面の”SORRY”の文字。
ハッとした表情のスニョンと、一方空港のエスカレーターを綺麗なドレスを着たスンジャが笑顔で登っていく。


これは良い…なんと暗い気持ちになる映画か。韓国で実際にあった臓器密売/児童売買のお話らしい。
そうか、養子を隠れ蓑に臓器輸送も行われているのか…。最初は小憎らしかったスンジャも、裏の事情を知るとなんと哀れな事か…あんなに喜んでいたのに。
そしてチンピラどころか極悪だった叔父よ…。仮に金を得たところで、兄である男は知的障害だし手酷い扱いをしていたし、お金がいくとも思えない。そもそも2人の父も養子に反対していたし、なんで叔父の一存でOKなんだろう。法的な後見人なんだろうか…。

そしてこの映画を支える、スニョン役のキム・セロンが素晴らしかったなあ。小栗旬みたいな顔しているんだけど、オーラがある。
他の出演作は一本も観てないけど、ちょろっと覗いたら興味ありそうなのもあったしまた出会えそう。
ふじこ

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