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UNDERWATER LOVE おんなの河童のミートのレビュー・感想・評価

UNDERWATER LOVE おんなの河童(2011年製作の映画)
5.0
天才いまおかしんじは横浜市立大学を中退した後、ピンク映画の助監督で修業を積み、1995年のピンク映画『獣たちの性宴 イクときいっしょ』で監督としてデビュー。ピンク映画界では「ピンク七福神」の一人に数えられ、映画の題名を変えて一般映画として流通させた作品も多く、デビュー作の一般名は『彗星まち』である。

愛染恭子と共同監督をした往年の話題作「白日夢」のリメイクや、先頃亡くなった西村賢太の芥川賞受賞作「苦役列車」がいまおかの脚本により映画化されたことも話題と言えよう。

本作は多分日本独自の妖怪である河童として蘇った男の子と平凡かつ平和な生活を送る女子との恋の物語である。日独合作であり、撮影監督はオーストラリアの映画監督クリストファー・ドイルでミュージカル仕立てとなっている。映像は自然の美しさの表現が素晴らしく、コミカルなミュージカル部分との対比が面白い。

音楽はドイツ/フランスのエクスペリメンタル・ポップ・ユニットStereo Totalである。惜しくもボーカルFrançoise Cactusは2021年に乳癌でこの世を去っている。つたない日本語の歌が妙に切ない。

主演の正木佐和は決して美人ではないが、僕はこの映画を観てファンになってしまった。下から見上げるような目線の演技にやられた。身体も非常に美しい。公開当時37歳であるが、脱がざるを得なくても脚本を読んで「感動した上での」決意の出演であったことが予想される。

河童で蘇った青木君の姿は溺れて死んだ当時の学生服なのであろうが凄く切ない。河童とは言え妖怪なので、当然佇まいが非常にグロテスクなのだが、映画が進むにつれて愛着が湧いてくるから不思議である。

途中までは少し退屈だが、とにかく傑作である。是非ともご鑑賞あれ。
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