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麦子さんとのodyssのレビュー・感想・評価

麦子さんと(2013年製作の映画)
2.5
【脚本が弱い】

(結婚・妊娠して引退した堀北真希さんを回想するレビューの第三弾。ロードショウから数ヵ月遅れで私の住む地方都市で上映されたときに某サイトに投稿した文章。某サイトは今は消滅していますので、ここでしか読めません。)

堀北真希ファンの私としては期待して見たのだが・・・・

コンセプトは悪くない。だけど、脚本がイマイチなんだなあ。

まず、母親との関係。ヒロインは母親が自分たち兄妹を捨てたと思い込んでいた。だけど実際は毎月15万円の送金をしていた。

ここ、変じゃないですか。兄は妹にそれを隠していた。なぜ隠すのか分からない。母親との間に何かあって、それで妹に言いたくなかったのなら、その理由が作中にちゃんと出るようにすべきだけど、見ていても特段そういう理由はなさそう。また、徹底的に母に突っ慳貪な態度をとっていることからして、よほど母親に恨み辛みがあるのだろうと思うと、棺桶の前で泣いていたりする。筋書き的にすごくいい加減な作りなんですよね。(念のため。同居したくないってのは、分かります。だけどそれは、松田龍平演じる兄が母親に投げかけるひどいセリフとは別次元のこと。送金を受けていて、だけど同居はしたくないなら、もう少し別の言い方になるはず。)

それはヒロインも同じ。母は実はちゃんと毎月送金していたと分かった時点で、母との関係を考え直さなければならないだろうと思う。もちろん、同居がウザいとか、世代の違いや何かから来るいらだちは分かります。でも、母の故郷に納骨に行ってからの彼女の態度はよく分からない。特に麻生祐未演じる中年女性にどうしてあんなに突っ張る必要があるのか。あれ、最後に「和解」の場を持ってきたいから無理に作り上げたシーンなんじゃないかな。

そして、麻生祐未の中年女性はなぜ子供と会わないのか。その理由は最後まで出てこない。変ですよ。会わないのにはそれなりの理由があるだろうから、その理由がちゃんと提示されることで中年女性の生き方も観客にそれと納得できるのです。

これは、そもそも松田龍平と堀北真希の兄妹が、なぜ二人だけで暮らしているのか、その理由が提示されていないことと実は共通の問題なんだな。それが分からないから、二人が母親になぜあんな態度をとるのかがよく分からなくなる。

要するに、脚本がまずいんですよね。兄妹がなぜ母と同居していなかったのか、麻生祐未の中年女性はなぜ子供に会いにいかないのか、脚本を作る側は考えつかなかった、つまり無能だった、ってことでしょう。それが作中に組み込まれていなければ、この映画全体が説得性に乏しいものとなってしまうことにすら気づかなかった。

それから、ヒロインが母の故郷に行って母の実像を知るという全体の筋書きからすると、故郷で初めて知る母の色々な側面をもっと用意しておかないといけないね。あれだけでは不足です。その辺も、脚本の弱さなんだな。

堀北真希さんは、北川景子さんに比べて作品に恵まれないな、という印象を強くしました。
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