SatoshiFujiwara

昨日からの別れのSatoshiFujiwaraのレビュー・感想・評価

昨日からの別れ(1966年製作の映画)
3.3
ある意味でニュー・ジャーマン・シネマの理論的支柱と言うべき存在ながら日本では地味な扱いであるアレクサンダー・クルーゲ、俺も名前を知るのみで未見であったがこの度ようやく。

観てなるほど、ファスビンダーやらジーバーベルクに比べていかにも地味である(ヴェンダースやヘルツォークはよりワールドワイドな指向性があるので比較対象とはなりにくい)。本作は東独から西側に出て来た女性が金もなくあちこち放浪するという話だが、その物語性はあまり前面に出て来ず断片的なエピソードを並列的に繋げて行くような作風であり、しかもそれはジャンプカットの多用やら意図的とも思える繋ぎ間違いがあったり、と1966年という制作年を考えればヌーヴェル・ヴァーグ、もっと言えばゴダールの影響を容易に感じ取ることが出来よう。しかしゴダールほどの鋭利さはなく、全体の印象は淡々としている。まあこの印象はかなり昔の、状態に難があるボヤケた16ミリプリントで観たせいもあるかも知らん(何せ字幕が岩淵達治です。しかもシネマフォントが沈滞しかかっていてムチャクチャ読みにくい…)。

確かに当時は新しい印象をもたらしたんだろうけど、今これを観た感じではやや微妙ってとこか。インパクトは弱い。嫌いじゃないけどね。
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