クルードス

南京!南京!のクルードスのレビュー・感想・評価

南京!南京!(2009年製作の映画)
3.5
終戦記念日という事であえてこの映画をレビュー。

言わずと知れた南京事件を取り上げた映画。
南京事件については諸説あるが、ここでは映画の内容についてだけ取り上げます。

映画としては反日一辺倒ではなく、日本軍のやる事に疑問を感じる人間的な日本兵の目線や、利己的な行動で日本軍に仲間を売る中国人も描かれる。
それらによって、監督は中国国内では結構な批判にさらされたらしい。

とは言え、日本軍の蛮行の描き方はやっぱり容赦無い。特に女性への暴行や組織的な従軍慰安婦への連行や、その後の彼女達の姿は観ていてかなりキツい。

これらの場面については、日本、中国、という国の立場だけではなく、一方的に搾取される市民の立場に一番感情移入した。
結局、戦争が起きれば一市民でしかない自分はきっと同じように状況に流されて翻弄されてしまうだろうから。

映画としては説明不足で唐突な印象を受ける場面がいくつかあったり、中盤は中だるみしていたり、必ずしもいい出来では無い。
しかし、終盤に向けては引き付けられた。

ラストはとても印象的で、生きる事とは?生きる事における勝者とは?というメッセージだと思った。


以下、歴史教育について少し。

日本の近現代史は、自分の学生時代には授業ではあまり取り上げられず、知らない事が多かった(勉強不足だっただけかもしれないが)
私自身「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」2部作をキッカケに近現代史の本を読むようになり、そこで初めて色々知った。

広く知られている特攻、玉砕、原爆等の被害者としての歴史も重要だが、中国戦線及びアジアへの侵略等の加害者としての歴史についても併せて知る事が大切だと思う。
左とか右とかそういう事ではなく、今後悲劇を繰り返さないために必要な事ではないだろうか。