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ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマンのotomのレビュー・感想・評価

5.0
生活全般が完璧風でありながら、ドアがキィキィ言ってたり雑な所がチラホラある加減が絶妙な初期設定。人間性を殺して機械的にしたところで結局人間な様子。で、思えば序盤の「糸がない」と『エリーゼのために』の展開部分からして始まってる具合で、照明も含めた全てのタイミングが巨匠の域。そしてルーティンが本格的に崩れてバグり始めてからのポンコツロボ顔負けにブブブ...となるデルフィーヌ・セイリグの演技が圧巻。急かせかと動くとフリーズ虚無状態の時間配分と落差とスイッチ具合とかホント素晴らしい。更には自分のやってる事を知ってるのか否か、ただでさえ妙な緊迫感のある息子との日常のやり取りの中で投下される男女論のドキドキったらない。殆どのシーンでかっちりした構図なんだけど、アタシの心の席が取られてるカフェの一幕で画面のセンターから外れてるとことか、無意味なお喋りする隣人の時間泥棒女はフレームインすらさせないって辺りがまた地味に痺れる。傑作。
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