Jeffrey

荒野のダッチワイフのJeffreyのレビュー・感想・評価

荒野のダッチワイフ(1967年製作の映画)
3.0
「荒野のダッチワイフ」

冒頭、荒野に佇む木。二丁の拳銃、お手並み拝見。不動産経営者の男、有力者に雇われた殺し屋、嬲られる女、フィルム、宿敵、主犯格の男。今、果たし合いの午後三時が迫りくる…本作は大和屋竺が監督、脚本を務めた一九六七年のピンク映画で、この度廃盤のDVDを購入して再鑑賞したが風変わりでブットんでいる。 別題"恐怖人形"でも覚えている人はいると思うが、この作品はレンタルなどもほぼされてなくて、小さな劇場でたまに上映する時に行かないとなかなかお目にかかれない映画だ。

アンブローズ・ビアスの短編小説をヒントにした殺し屋の妄想と現実が混ざる難解なプロットに怪奇趣味を+融合した伝説のカルトムービーとしてコアなファンがいる。また全編を彩る山下洋輔による前衛的なジャズもカッコいいのである。ハードボイルドテイスト、フィルムノワール的な雰囲気が好きな方にお勧めできるー本だ。


さて、物語は町の有力者に雇われた殺し屋。殺しのターゲットは、かつて自分の女を殺した宿敵だ。女の断末魔の声が耳から離れないまま、果たし合いの午後三時が迫りくる…。

本作は冒頭に、固定ショットで高野の道を捉える。そこにー台の車がやってきて一人の男が降りる。名前はショウ。職業殺し屋である。彼はジッポでタバコに火をつけようとするが火がつかない。カメラは不意に黒電話が地面に落ちているカットを映す。すると女のショットが一瞬映る。男は火のつかないタバコを捨てる。そこにもうー台の車がやってくる。サングラスをかけた坊主のスーツ姿の男が彼の名前を呼び二人は荒れ道を歩く。彼の名前は不動産経営者のナカ。依頼人である。そして荒波の描写に変わり、タイトルロゴが出現する。

続いて、カメラは大地に一本だけ成長しているシンボリックな木を捉える。そこに二人がやってくる。サングラスの男はどこのホテルにお泊まりなんですかと聞く。男は俺は遊びに来たんじゃねーと言う。そしてお手並み拝見といい、ハットをかぶった男はその木に向かって腰から二丁の拳銃を出しその木を撃ちまくる。すると木は折れて倒れる。カメラはその倒れた木を撮る。続いて、女がいた嬲られているフィルムを部屋で見せられるショウ。二人の会話が続く…と簡単に説明するとこんな感じで、荒野=密室と言う意味合いがあるようなタイトルに惹かれたが、実際が見て見えそうそのものだった。うーむ、 厭世的な気分になるような雰囲気は個人的にはすごく好きなんだけど、これ人に勧めれるような内容では無い。なかなか風変わりである。
Jeffrey

Jeffrey