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森に生きる少年 ~カラスの日~のyのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

父から「森の外に出たら存在が消えてしまう」と教えられて育ち、動物を狩りながら、広くも狭いジャングルで自給自足の生活を送ってきた少年。"獲物"として登場する動物と、服を着て意思を持ち"人間"として登場する動物(=死者)の2種類の存在に囲まれて生活している。父が怪我をしたことをきっかけに外の世界に飛び出し、初めて他者に触れ社会性というものを身に付けはじめる。愚かな人間を見放し愛を失った父に対して、人との触れ合いにより愛を知る息子。彼の世界がどんどん広がっていくところにカタルシスを覚える。冒頭より、嵐の中、子を抱えて森を彷徨う男と森の背景、前景の木がもたらす立体感と"異界"感。
シルヴァン・ショメやミッシェル・オスロも入っていると思うけれど、キャラデザや世界観など根本にジブリからの影響を感じざるを得ない。2度目の火事の前触れに少年の初めての友人に妻の面影を見出し、愛を取り戻した父は異界で妻に再会する。動物に姿を変えて生き永らえるリインカーネイション的な設定は、宗教観もあるのだろうか。こりゃ大傑作。
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