ホシアイリーン

ハーフのホシアイリーンのネタバレレビュー・内容・結末

ハーフ(2013年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

まー10年前の映画になるので、10年前にこれをやっていること自体は勇気のあることだと思う。

映画として、もう少し軸というか、マニフェストがあってもよかったのではないかと思う。(多様性を認める社会をめざそう、の"多様性"について映画製作者側が理解して、言語化して作っていたらよかったかも。今のままだといろんなハーフ取材してみましたに尽きないかも。

誰かのレビューで見たけど、涙のアップはまじで嫌だった。

メキシコと日本にルーツを持つ少年、何度も学校が変わって、学習範囲が変わってかわいそうだった。ただでさえ、使いこなせる言語=コマンドがないと、深い孤独に苛まれるのに。彼にはそれが一つもないんだ。
誰かに気持ちを完全にわかってもらうことのできない孤独。気持ちを言い表せない孤独、もどかしさ。誰とも深く繋がれない。
想像しきれない辛さだろう。
昔、バイリンガルは言語を2倍習得する分、1/2の速さで全てを理解する子が多い(意訳)と聞いたことがあるけど、この子は三カ国語だし、余程辛いと思う。なんのために勉強しているのか、何を勉強すべきなのか、わからなくなりそう。
親も暗中模索なのはわかるけど、こんだけ翻弄するのはどうなんだ。夫も「小学生のうちは日本の小学校に行かせたかったんですけどね」じゃなくて、もうちょい協力したらどうなんだ…10年経った今、彼がどこかで、心を理解してくれる人を見つけて生きていてくれることを切に願う。
自分も当事者なので、余計咎が残る。

矢野デイビッドさん、すごい人だ。
私は誰かにどことどこのハーフ?とか聞かれたら、なんでそんなことをわざわざ言わないといけない?とカチンときて濁したくなるけれど、矢野さんは聞かれたらすぐに自分のルーツを話す。それも、未来の子どもたちのためだと言う。
それがよいことなのかどうかは正直はっきりしないが、未来の子どもたちのために自分が犠牲になる、みたいな献身的な態度に、自分が恥ずかしくなった。
養護施設で育って、今は人を救うために活動している。痛みを乗り越えた人だなと本当に思う。

誰かが「居心地が悪いということは新しいことだ」と言っていて、その言葉が頭に残った。