theocats

楽隊のうさぎのtheocatsのレビュー・感想・評価

楽隊のうさぎ(2013年製作の映画)
4.0
短い尺で上手くまとめ上げた

吹奏楽部に入部した主体性のない大人しい男子が楽部員として、そして人間として成長していくドラマ。

尺の関係かカメラ密着ということはなく、成長の軌跡を追跡する過程は適度に間をあけている。
必要最小限の場面構成で楽部員として少しずつ確実に成熟していくさま、自発性と明るさが芽生えてくる様子が説得力を伴って描かれていたと個人的には思う。説明不足と感じる人もいるかもしれないが・・・

他の楽部員も好ましい素人感を漂わせつつ過不足のない演技。最初は素人すぎるのではと危惧したが。笑
不良というわけではなさそうだが、なぜか主人公に対して優位に立つ幼馴染とのぎくしゃくした関係も、自身の中学生時代を思い起こすならありがちなことなのかなとも。
ラストは生気充溢している主人公と、不登校から立ち直る兆しを感じさせるその幼馴染との久しぶりのあいさつでエンドとなる。

ロケ地浜松の爽やかな空気感と開放的な景観も演出上の肝。

傑作とまで言ったらオーバーだが佳品と言いうる。

オッとすっかり忘れていたが、あのうさぎをどう考えるべきか?
主人公には見えている時もあれば目に入らない場合もあるようで、原作を知らない人間にとってははっきり言って謎の存在。まぁポジティブな感化を使命とする妖精の一種と見做しておけばそれでいいのだろう。

002003
theocats

theocats