ゆず

ゆるせない、逢いたいのゆずのレビュー・感想・評価

ゆるせない、逢いたい(2013年製作の映画)
3.8
「許せない」と「逢いたい」という一見相反する感情をずばりタイトルに持ってきていてインパクトがある。
物語はデートレイプを扱った社会派恋愛映画で、多くの人にこの作品を見て考えてもらいたい。少なくとも異性と交際するつもりがあるのなら必見と言っても過言じゃない。
同意のない性行為が犯罪だってことぐらいこの映画に教わるまでもなく分かってんよ、というならいいんだけど、それを知識として得る前に自らの経験として知ってしまうのはあまりにも悲しい。
少なくともこの映画の二人は取り返しのつかない過ちとしてそれを知ったのだし、現実にそういうことがあるから(しかも見過ごせないくらいの件数で)映画になったのだし。
「うちのカレシはやさしいから平気」と安心してもいられないですよ、この映画を見ると。デートレイプをしてしまうかどうかは、男性の性格の問題ではなく、デートレイプが何を奪い何をもたらすかを「知って」いるかいないか、その違いなんだと思う。

「ゆるせないけど逢いたい」という感情は最初の印象ほど甘いものではなかった。
それは「ゆるせないけど会わなければならない」という迫られた気持ちに近い。
「好きだから何されても許す」なんてネジの抜けた答えでもなければ、完全に男性を犯罪者として憎んでしまうわけでもない。その狭間にあって煮え切らない感情に苦しむ姿が描かれていたと思う。
好きだったからこそ、デートレイプという結果で終わってしまうのが悔しくてたまらない、という感じなのかなと思った。

でも、悔しいからといってやり直すこともやはりできない。
一生残る心の傷を刻みつけられてしまった事実は覆しようがない。相手のことを好きだったという事実はあっても、もう以前の二人にはけして戻れない。
暴力には心の後遺症が伴うのだ。一度殴られた者は、次は相手が腕を上げただけで身構えてしまう。一度恐怖を植え付けられただけで、男性の暴力から逃げる勇気すらも奪われてしまう。家庭内暴力ってそういう感じなんじゃないだろうか。
だから男性は、女性に対して優しすぎるくらい優しくしなければならないと思った。男社会と言われるこの世の中も、女性が本当に心の底から安心して暮らせるような社会にしないといけない。人類の半分は女性なのだから。



9/9 ゆるせない、逢いたい 録画
ゆず

ゆず