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V/H/S ネクストレベルのEikeのレビュー・感想・評価

V/H/S ネクストレベル(2013年製作の映画)
3.4
POVオムニバスホラーのシリーズ第2弾。

POV形式をネタに主に若手のホラー作家たちが腕を競ったエピソードの寄せ集め。
今回もやたらガチャガチャとしてますが既にそれが独自色となっている点は興味深い。
したがって前作 「V/H/Sシンドローム」が気に入らなかった方は本作もお気に召さないと思います。

しかしながら本作、前作以上にエンタメ色が強い。
POV形式で観客に異常な事の成り行きを「目撃」させる事に重点が置かれておりますのでコワいというよりはショッキングな描写が多くなるのは自然な流れでしょうか。
見る側からすれば何も考えずに眺めていればいい訳でとっても楽(笑)。
とは言え本作のユニークさはそれなりにアイデアや工夫を盛り込んでいる点にあり、サービス精神はうかがえるものになっていると思います。

今回は演出で7名、脚本には9名がクレジットされております。
"Tape 49":全編をまとめるエピソード:失踪した若者を捜してある屋敷に侵入した2人の調査人。そこでうず高く積まれたビデオを一本ずつ見て確認することに...
"Phase I Clinical Trials":最新式の人工義眼を臨床試験で装着した男性の視野に写り込む謎の人影。その影について警告するべくやって来た女性の話を聞くと...
"A Ride in the Park":森のダウンヒルをMTBで走っていた若者は行き倒れていた人物に突然襲われて...
"Safe Haven":あるカルト教団の教祖にインタビューすべくクルーが教団の施設内に。教祖の異様な言動に戸惑う彼等の前で信じられない事態が…
"Slumber Party Alien Abduction":子供たちが楽しく過ごす湖のほとりの別荘が夜、突然謎の光りに包まれて...

ハイテク義眼をネタにした一話とGo-Pro風の動画を利用した第2話は一人称視点を利用。
特にゾンビねたの第2話はある人物のゾンビとしての生涯(?)を丸ごと切り取った内容で良く出来てます。
湖沿いの別荘で羽目を外す子供たちに脅威が迫る最終話は身も蓋もないタイトル通りの脱力系お馬鹿エピソードで(派手な音響でしつこく迫ってくるエイリアンが鬱陶しくて)笑えます。
しかし一番の注目作はやはりカルト教団に潜入したジャーナリストたちを襲う阿鼻叫喚の異常事態を描いたSafe Havenでしょう。
これインドネシア版ハードコアバイオレンス作 「ザ・レイド 」のギャレス・エバンズが担当。
「ザ・レイド 」で見せた畳みかけるような格闘バイオレンスの連続技をゴア描写満載のホラーに転用するとこうなるという内容で後半はもうメチャクチャ(笑)。
血しぶきと屍累々の展開で地獄の釜の蓋が開く様を一気に見せてくれます。
ホラーとして究極の落としどころまで持って行ってくれるのに肝心の描写が安っぽいのが気になる人も多いと思いますが個人的にはそのギャップも面白く感じました。

それぞれのエピソードは20分前後とちょうどいい分量でしょうか。
その意味で気楽に見れる作品でもあります。
好き嫌いが分かれる作風ですが完全にその筋のファン宛に作られている辺りは潔いですね。
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