あでぃくしょんBBA

スパイな奴らのあでぃくしょんBBAのネタバレレビュー・内容・結末

スパイな奴ら(2012年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

2022.11.24

『レッド・ファミリー』ばりの辛い展開になるかと思いきや、微妙にアンハッピーすれすれのところに落とし込んだ迷作だった。
迷作と書いたが、決して悪い仕上がりじゃない。かといって佳作といえるほどラストが締まってもいない。
ジャンル的には哀愁漂うほろ苦コメディ、韓国版の『スパイはつらいよ』だ。

『タクシー運転手』で光州の気のいいドライバーを演じた役者さんが本作では超怖かった。“最後は善い人であってほしい”と、ささやかに願ったが叶わず。
オープニングで紹介された北朝鮮スパイ絡みの3件の事件のうちの1件、「江陵浸透事件」をググると、スパイもスパイされるほうもその攻防は非情で血みどろなのがよくわかる。
なんつーか、お花畑と言われても、平凡な平和ってすごく大事だ(涙)。

ああ、そういやもうひとつ。
本作には、BSE(牛海綿状脳症)問題でストップしていたアメリカ産牛肉の輸入再開に抗議する若者が登場する。彼は北朝鮮からの潜入スパイで、韓国では若手酪農家として暮らしている。元は偽装だったが、長年やっているうちに本物の酪農家になった男だ。その彼が、映画の中で何度も、「アメリカ牛はBSEに毒されてるから食うな。食べるなら国産だ」と言う。
このセリフは彼(役柄)の頭の固さを象徴し、強調するためのセリフなのだが、たとえBSE問題の渦中にあっても(むしろ渦中なら尚更)、日本のエンタメではこういうセリフは脚本段階でカットだろうなと、妙に感心させられた。
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