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THE LOST ザ・ロスト 失われた黒い夏の8bitのレビュー・感想・評価

3.2
原作はジャック・ケッチャム。
現代版「時計じかけのオレンジ」とでもいえそうな裸と暴力にまみれた一大暴走絵巻が全編に渡って展開します。

純粋な衝動としての暴力描写は思わず目をそむけたくなるほどに凄惨で生々しいもの。
主人公は常に周りに威圧的な態度を取り、自分が不快だと思うものや、思い通りにならない人間には容赦なく暴力や罵声を浴びせる最低最悪のクズ。
常に化粧をし髪型を整え、ブーツには潰した空き缶を入れて背を高く見せようとするなど虚栄心が強く、女性に威圧的な反面、母親に頭が上がらなかったりセックスの時に勃たないなど女性に対する恐怖が垣間見えます。
そういったコンプレックスの裏返しとしての暴力。ドラッグと酒に溺れる逃避。
こんなの共感も同情も全くできない人間の歪んだ内面を描くことにより、人間の哀しさ滑稽さを浮き彫りにしています。
呆気にとられるクライマックスのカオスっぷりはちょっと凄い。
原作も読んでみようかな。
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