オーストリアから移住したユダヤ人の両親のもとに生まれ、俳優としてオフ・ブロードウェイなどの舞台で活躍した後に1940年代前半に助監督となり、映画製作に携わるようになったAnthony Mann監督作。
Robert L. RichardsとBorden Chaseの共同脚本。
黒澤明の『七人の侍』は本作に影響されてるのかな?先住民のインディアンに囲まれるところは、野武士に囲まれる村と似てる気がする。
一箇所に集まり簡易バリケードを作り、迎え撃つ。坂の上から一斉に先住民の騎馬隊が向かってくる。ここは似てるし影響はあると思う。
Dan Duryea演じるウェイコと、Charles Drake演じるスティーブは何の約束があったの?2人は互いに会って何をするつもりだったの?偶然そこにウェイコが現れて、おぉ遅かったな…的な話してたけど。何の用があったのよ?
その最初の用も特に関係なく、千に1丁と云われる逸品ウィンチェスター銃の1873モデルを見るや売ってくれの一本槍。
スティーブに無駄にコーヒーを入れさせて、持ってきたところを蹴り飛ばし、コーヒーは溢れ割れ…怒りを煽って拳銃に手を掛けた瞬間、早撃ちのウェイコがすかさず撃ち殺す。
この茶番はなに?
初めからスティーブは言いなりなんだし、大人しくウィンチェスター銃を渡せばええやん。
しかも、キミはその銃に何の思い入れもないよね?
挙げ句、死んでしまうし…
そこへ正面から、荷車に干草を乗せて、灯油で火をつけて、正面から突っ込む保安官たち。
裏から逃げればいいのに、手下どもを正面から相撃ちさせるウェイコ。
そして自分だけは裏手から、スティーブの女を連れて逃げる。
明らかに人質なのだが、逃げようとせず、どちらかというと自分からウェイコの馬に乗るShelley Winters演じるローラ。
そのくせ台詞では…
ローラ
「なぜ相乗りなの?」
と言いながら、自分から乗ってるやん!
おいおい…
ローラの立ち位置、スティーブとの関係性もよく分からないし、そもそもはじめの町ダッチシティでワイアット・アープになぜ追い出されてるのかも、よくわからない。
しかし、『アパッチの怒り』(1954)よりも前に作られたのに、きちんと夜は夜に見えるし、ロケとスタジオのセットの境目もなかなかシームレスで素晴らしい。
カット割りや編集も、怠くない。
リン(James Stewart)
「よくつきあってくれた」
ハイスペード(Millard Mitchell)
「それが友達さ、親父さんも言ってた」
リン
「男は友達が1人いれば豊かだってね…本当だ」
ダッチとウェイコ、山小屋。
ウィンチェスター銃を確認するなり、俺の銃だ、よこせ!とすごむダッチ。
強引に手を離さない。
ウェイコは、あっけなく譲る。
え…ぇぇぇ!?
スティーブのことは、殺したのに?
ウェイコ相手には引くんだ?なんで?都合良くないか?勢力図というか、チカラ関係がバラバラじゃね?見ているこちら側には少なくとも分かりにくい。
ダッチにそんな強権的な力があるなら、商人相手にポーカーなどせずに、力づくで金も銃も奪えば良かったんじゃない?どうせならず者なわけでしょ?
なんでポーカーで負けて大人しく引いたの?
仕事の話。
ダッチ、ウェイコ、ウェイコの膝の上に座るローラ。
先ず…全く嫌がってないローラの心情が理解できません。
ウェイコは俺に惚れてるローラと紹介する。それには否定もしない。ローラは本当に惚れたの?出会って四秒で?なにそれ?
ダッチは仕事の話をする時に女を入れるな!と注意。
ローラに散歩を促すウェイコ。
立ち上がるローラ。
厨房へ行き、棚に置いてある写真を見るローラ。
散歩を促したのに、すぐ後ろにいるローラ。すぐ後ろにいるのに、仕事の話を始め出すダッチ。え?聞こえる距離感ですけど…いいんですか?その音量で話して?
その計画、全部聞こえてるよ。
なんだよコレ…。
写真を見てるローラの腕を掴み、
ダッチ
「何を見た?」
ローラ
「なにも」
いやいや、何を見た?の前に、アンタがいま全部話してしまったやん!なにを言うてんのよ!いまさら何を見た?って焦っても遅いだろ!粗末すぎる。
ウェイコとローラ。
ローラ
「変な人ね」
ウェイコ
「そうかい」
ローラ
「人を殺してまで取った銃を簡単に渡して」
ウェイコ
「なぁに、いずれ同じ手で取り返すさ」
おぉローラのナイスツッコミ。
…ってことは分かってやってるのね。
それもよく分からないけど…
岩山でのラストバウト。
ダッチとリンの兄弟対決。
最後だけ、ダッチは、なぜか身体を岩山からさらけ出して乱射。
いやいや…なんで?ずっと岩を盾に、隠れながら撃っていたのに…なぜ最後は身体が全部見えるように立ったの?
観念した?
その辺りは無茶苦茶だが、2人の位置関係はとてもわかりやすく、計算尽くされた構図と編集は素晴らしい。
だからこそ、他のところが悪目立ちしてしまう。これができる人なら、改善できたんじゃね?と思えてしまう。
あと地味に着弾のタイミングとか素晴らしいね。あの着弾はどうやってやってるのかしら?撃ちました→そこから岩に撃った弾が当たります→岩がはじける
この着弾のタイミングもバッチリだし、音のタイミングも素晴らしい。
ラストカット。
リンが手に持つウィンチェスター銃のアップでエンド!
この終わりはキレがあり嫌いじゃない。
しかし、その前に…
リンの姿が見えると、ローラが走り寄っていき、リンとローラが親密そうに抱き合う姿がよく分からない。
この止まり木のない女は何なの?
あっちいってこっちいって、ある意味で一番逞しい。強い者に尻尾をふる感じが好い印象を与えない。
走り寄るローラを受け止めて抱きしめるリンの気持ちもよくわからない。あなたが止まり木になるのかしら?
挨拶程度ならいざ知らず、親密そうに抱き合うのはいかがなものでしょう?
君たち2人はまだそんなに距離感詰めてないよね?