あかねちん

アクト・オブ・キリングのあかねちんのレビュー・感想・評価

アクト・オブ・キリング(2012年製作の映画)
3.0
1960年代にインドネシアで繰り広げられた共産党支持者たちの大量虐殺の加害者たちに、その再現をさせる映画を撮りながら彼らの胸中や虐殺の実態に迫ったドキュメンタリー。

多くの人を殺しながら、またインドネシアでは歌舞伎者の存在の"フリマン"でありながらも国民たちに長年英雄視されてきた加害者のうちの一人・アンワルに焦点を当てたもの。

序盤は笑いながら楽しげに「ワイヤーで殺すのが一番簡単」「死体はこの袋に入れる」というような話を自慢するかのようにペラペラと話す。次第に自分たちの英雄伝説映画を撮る上で自分が被害者側の役をやると怯え、ラストには嗚咽が止まらなくなる。あの嗚咽が続くシーンは正直きつかった...。

アンワルは虐殺を行い、倫理に反することを行いこれは自慢することではないが、彼自身60年代インドネシアの社会や冷戦において作られた被害者のように思えた。冷戦があり共産主義が非難されるようになりそこからアンワルの行為は正当な行為だと思われたようにしか感じなかった。また、カメラマンか監督かは不明だが質問の仕方があまりにも誘導尋問のような感じがしてよりアンワルを昔の罪に悩む悪人に仕立てようとしている感じがして、なんだが腑に落ちない。

一番嫌な奴だと思ったのは新聞社の人たち。"こいつは共産主義者だ"と決めつけながらも、自分では手を下してないので一番罪の意識がなさそうだと思った。そして養父を殺されながらも情報提供だと言いながらヘコヘコしながら話をする男にも違和感。

もう最初の魚の造形物の前で踊り踊ったり、カラフルというか毒々しい衣装だったりもう違和感だらけだった。

良いとも悪いともし難い映画。
あかねちん

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