のこのこのこっち

収容病棟ののこのこのこっちのレビュー・感想・評価

収容病棟(2013年製作の映画)
3.7
原題を訳すなら「狂気の愛」だろうか英題の「'Til Madness Do Us Part」ならば結婚式の文句にかけて「狂気が二人を別つまで」いや、ここのusは患者たちすべてか、鑑賞中の人々も含むかもしれない。

どうでもいいのだが、とある2019年データでは中国の精神疾患疾病率は17.5%なのだそう。日本人口の倍ですね。これは精神病に限らず気分障害や強迫性障害を含むとして換算しても何かしら操作されたデータにも感じる。1億の時点でありえるか?精神病と限定するなら30人とか50人に1人が相場だろう。

やはり、日本でも戸塚ヨットスクールなどが有名で或いはイギリスのJean Gambellといった現在の常識では逸している脳病院的な事件なんてのは…いや日常だったんですよ。『ヨーロッパ一九五一年』甘い甘いそういう意味じゃリアリティのかけらもない。北杜夫の『楡家の人びと』に出てくる三島由紀夫が賞賛したらしい院長先生の祖父というのを想像してみよう。そういうのが当たり前なんだ。四半世紀前の日本にだって入院したら二度と出られなくなるかもしれない精神科はまだ存在していた(断っておこう実際に見てきている)。

まあ…中国じゃん?案の定の不衛生さとかを除けば前提として劇中では見せないように努めるなぜ収容されたかという不条理な扱いを普通のものと思う身からすると、一般の人のそれとは違い異次元とまでは行かず、中国の片田舎の汚いとこにぶちこまれたという印象しか持てない。

言い換えると多くの鑑賞者は説明もなく男性のみの閉鎖病棟にいっしょに理不尽にぶちこまれて地獄を見せられた気になるのだ。しかしここには保護室ひとつ出てくるでなし、狂気を個人的には感じなーい。

前後でそこそこ伝えたいことを分けてる印象はあった。同じカメラに収めるべき面白い人物にしても、後半こそ人間関係に於ける愛の要素が強く感じた。とにかく立ちションする人、獣のように食してるとこに食器を落とす、階と格子を隔てた恋、退院しても居場所なく彷徨い歩くかのような姿、意地でも張ってるのかな夫、奇声や奇行を撮るのではなく(奇声がけっこうBGMになってたような。始終騒ぐってことはないだろ)、そこにいる人間らしい人間が見えてくる。