かたゆき

ダラス・バイヤーズクラブのかたゆきのレビュー・感想・評価

ダラス・バイヤーズクラブ(2013年製作の映画)
2.5
何かの冗談だろ、この俺がHIV陽性だって?
すると、あんたら医者はこの俺があの汚らしいホモ野郎たちと同じだって言うのか?
しかも余命30日だって?ふざけんじゃねぇ!
一つ教えといてやるよ、この俺、ロン・ウッドルーフ様を30日で殺せるものなんてどこにもありゃしねえ――。

1980年代、テキサス州ダラスでカウボーイをしている電気技師ロン・ウッドルーフは、酒と女をこよなく愛し、ホモと役人が大嫌いなアメリカ南部の典型的な俗物田舎者。
ところがある日、長年にわたる地元の売春婦たちとの奔放な性生活がたたって、彼はエイズに罹患していることが分かるのだった。
しかも告げられた余命は30日。
なんとしてでも生き延びたいロンは、金にものを言わせてまだ未承認の治療薬AZTを手に入れようとメキシコにまで足を運ぶ。
そこで、モグリの医者から汚い現実を知った彼は、とある画期的なアイデアを思いつくのだった――。
法の目を掻い潜り、偶然知り合ったゲイのレイヨンと共に違法すれすれのエイズ治療薬販売会社「ダラス・バイヤーズクラブ」を立ち上げるロン。
いつしか、彼の元には様々な悲劇を抱えたエイズ患者たちが集ってくるのだが……。
実話を元に、余命30日と告げられながらも、したたかに生き続けたとあるカウボーイの半生を淡々と綴ったヒューマン・ドラマ。

うーん、確かに末期のエイズを患いながらも希望を捨てずに生きたこのカウボーイの生き様をエネルギッシュに描きたいという監督の情熱は分かるし、アカデミー賞を受賞したというマシュー・マコノヒー&ジャレッド・レトの鬼気迫るような熱演にも素直に圧倒されたのだけど、ちょっとあまりにも見せ方がお粗末じゃないですか、これ。
なんだか、実話を元にしたお話の悪い面ばかりがやけに目に付く作品だと僕には思えました。
主人公ロンがこの違法すれすれの会社を立ち上げることになったきっかけも、彼の友人となったゲイのレイヨンが辿る運命も、最後の裁判へと至る過程も、もっと巧い見せ方があったはず。
ドキュメンタリーや再現VTRならまだしも、実話だからとはいえ映画としてもっと観客への見せ方に拘って欲しかったですね。
最後まで、あまりにも淡々と進むため、残念ながら僕にはちょっぴり退屈な作品に感じてしまいました。
アカデミー賞受賞も納得の主演俳優2人の熱演がすこぶる良かっただけに残念です。
かたゆき

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