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野のなななのかのkuuのレビュー・感想・評価

野のなななのか(2014年製作の映画)
3.7
『野のなななのか』
倫理区分G
製作年2014年。上映時間171分。
大林宣彦監督が、北海道芦別市を舞台にしたドラマ。
92歳で亡くなった家長の葬儀で顔をそろえた一族が、ある女性の来訪を契機に家長の知られざる過去を知る姿を日本人の生き方を見つめたストーリーに加えノスタルジックなタッチ描く作品。
品川徹、常盤貴子をはじめ、安達祐実、村田雄浩、松重豊ら実力派が結集。

感想は愚かながら映画を観て詠みました詩から始めます。
      無題
         kuuことGeorge
画面に流され 流す言の葉
ひろのの一面に咲く野の花
陽気に詩をよみ よまれれば
嘆きの詩をよみ よまれてく
希望を見つけたその 野のさき
野の先には絶望も落つこちて
チカチカと音を立て
消えては光る

レトロの古い病院は
真に人の姿かな
死して うまれ
うまれて 死して

陽朱くあかく燃ゆるなか
降る雪しんしん芯から冷える
これもまた
芦別の美しき
寂しき風物詩

躍然たる詩をよむその姿も
嘆きをよむその詩でさえも
全てを捨て置き
古き柱の時計は
チクタク チクタク

然しもに寂しげで
然しもに精彩なき
中也の體から
絞り落ちたる詩編集
サイフォン式の珈琲のやうに
雫が落ちてまたおちて
流れ落ちてはほろ苦い
物語を形貌彩る

灯りが消えては
また灯り消える
ランプの炎
数多のキネマも
光りては消え
また光りては消える
そしていつかは
消え失せる
その残像だけ残して

      
余談ながらタイトルの
『野のなななのか』の、
『なななのか』は、
七七日、『しちしちにち』とか『なななぬか』はたまた、『なななのか』とか、さまざまな読み方がある。
仏教法要四十九日と意味と同じで、七七とは『ななじゅうなな』のことではなく、七が7つ、つまり49日になる訳っす。 
『なななのか』は、昔の読み方で、平安初期に書かれた伊勢物語に四十九日の意味で『七七日(ななぬか)』ちゅう言葉が使われてた。
余談が過ぎますがモウチト書いて、
仏教には、忌日、つまり故人が亡くなった日のことを『命日』と云うのが一般的で、7日ごとに命日があるとされてる。
示寂(亡くなって)されてから最初の七日目が『初七日(しょなのか)』と云うんはそのためで、本来は、初七日に始まり、7日ごとに法要を行ってたそうです。
(宗派によって、いまでも確り行ってはるとこもあるとは思いますが)
14日目が『二七日(ふたなのか)』、
21日目『三七日(みなのか)』、
28日目『四七日(よなのか)』、
35日目『五七日(いつなのか)』、
42日目『六七日(むなのか)』、
さらに49日目が『七七日』となる。
故人は、示寂した日を合わして49日の間、後生(来世)を定めるための修行をされるとして。
その間に、7日毎に決まった仏さんや菩薩さんに7回逢うとされてる。
その際に行うのが、初七日忌や二七日忌等があり、総称して、お逮夜法要と云う。
初七日忌 不動明王
二七日忌 釈迦如来
三七日忌 文殊菩薩
四七日忌 普賢菩薩
五七日忌 地蔵菩薩
六七日忌 弥勒菩薩
七七日忌 薬師如来
亡くなってからもそない弔って貰ったら(たとえ兄弟姉妹、そして家族に色んな善きも悪き事柄があっても)示寂した人もうかばれるやろなぁ。
それが本来の孝行だったり、先に往く者のへの餞(はなむけ)なんやろな。

話がかなりそれましたが、お話は、
北海道芦別市で、古物商を経営する元病院長の鈴木光男(品川徹)が、
3月11日の14時46分に逝去。
92年に及ぶ人生の幕を閉じる。
告別式と葬儀の準備をすっため、鈴木家の親族が故郷である芦別に集結。
大学教授の冬樹(村田雄浩)、
原発職員の春彦(松重豊)、
看護師のカンナ(寺島咲)ら、
光男の長男、次男の子どもたちが久々の対面を果たしていると、清水信子(常盤貴子)という女が訪ねてくる。やがて、彼女を通して1945年に起きた旧ソ連の樺太侵攻で光男が体験した出来事を彼らは知る。。。

って物語が展開していく。
小生はYouTubeにて鑑賞いたしやした。
今作品の冒頭、
始まるや否や妙な楽器隊が登場する、失礼な話、
🎼今日人類がはじめて 木星についたよ~🎶
ピテカントロプスになる日もぅ 近づいたんだよ~🎵
と、『さよなら人類』をたまが唄うのかと思た奇妙な楽器隊が登場。
んで、直ぐに、
『人は常に 誰かの代りに生まれ、
誰かの代りに死んでゆくだから、
人の生き死には、
常に誰か別の人の生き死にに繋がっている。』
ちゅうナレーションと共にその楽器隊が演奏をした。
小生が想像した、たまさんの曲ではなく(決してたまさんの曲をさしてるんじゃなく)、小生の想像がふざけてるドタマにグーパンチを与えるかのように、温かなメロディとリズムに、自責の念にガツンと、それにズキンっと胸を打ち心を奪われてしまった🥺。
まだ、冒頭なのに涙腺弱なったなぁ。
大林監督作品のお得意の、ホラー?ファンタジー?なんとも云えん演出。
本作品は、小生がガキのころから敬愛してやまない中原中也の詩が、重要な要素を占めていて、中也の詩を読むシーンが、度々出てくる。
中原中也の詩集は、
『山羊の歌』と『在りし日の歌』の
たった2冊やけど、今作中に出てくる詩は、『骨』って一編以外は、無知な小生が観たとこじゃ『山羊の歌』に収められてんのがほとんどやったかな。
幻想的映像がとても美しいし、凝ったガジェットが素晴らしかった良くできた作品でした。
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