カント

はじまりは5つ星ホテルからのカントのレビュー・感想・評価

3.6
R40~アラフィフ・更年期で、閉経間近の女性が見れば共感する事、請けあい。
一人で生きる事、そして“老い”に向き合う事も強いられ、人生の岐路に立つ女性を描くヒューマン・ドラマの佳作。
30代が見るには、ちょっと早過ぎる。

ホテルの覆面調査員イレーネ。
世界各国の5つ星のホテルを泊まり歩く。
スイスのグシュタード・ホテル。
一流の名に恥じない行き届いたサービス。

一流は、全てにおいて完璧。
でもイレーネ自身は、一流と呼ぶには及ばないライフ・スタイル。

イレーネを雇う上司は“しがらみ(家庭)”を持たない彼女を重宝する。

イレーネの15年前に別れた元・夫アンドレア。
有機農業の野菜を扱う生真面目な男。
店の客と“懇(ねんご)ろ”の関係になって相手をハラませた。

イレーネの妹シルヴィア(ドジっ子)
音楽家の夫トンマーゾと2人の娘と、仲睦まじい家庭だが、実はセックスレスの夫婦。

イタリア、サンカシャーノ。
モロッコ、マラケシュ。
南イタリア、サヴェッレトリ。
ドイツ、ベルリン。
5つ星の一流ホテルの窓から外界を眺望しつつ、タバコの煙を薫(くゆ)らせながら…イレーネは様々に思案する…。

やや退屈な描写が多いけれど、ホテル並びにホテル周辺の景観の美しさは素晴らしい。

白眉は…
元・夫アンドレアと懇ろになった女性と対峙するシーン。
イレーネは大人なので、底流に嫌味が有るか無いか、相手の女性を慮る言葉の紡ぎ方…
『人として大事な事』って結局は…寄り添う心。

大人の味わい映画です。
カント

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