Maki

そこのみにて光輝くのMakiのレビュー・感想・評価

そこのみにて光輝く(2013年製作の映画)
4.0
ヒロイン・千夏を務める池脇千鶴の安定した演技力と存在感が素晴らしい。家族を養うために身を削る芯の逞しさを持ちつつも、時折見せる少女のような可愛い笑顔、そして程好い肉付きの女性的なボディライン。町の権力者・中島に脅されて関係を強要されたとき、弟のために身体を許そうとするが、主人公・達夫以外の男性に触れられることに心が拒絶し必死に抵抗する姿は見ていて辛かった。スクリーンが一瞬無音となったとき、千夏の叫び声が聞こえたような気がした。このような胸が苦しくなるほどの演技は、池脇千鶴にしか出来ないのではないか。
食堂でのシーンは家族愛と将来への希望を感じさせ、本作の中で、唯一幸せなひとときだった。しかしそれも束の間、その後すぐに絶望的な現実を目の当たりにするが、ラストシーンの浜辺で千夏が達夫の方を振り返り、笑いながら泣いているのか、それとも泣きながら笑っているのか、何とも言葉にできない千夏の表情はとても切なく、そして美しかった。
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