わたがし

メアリーと秘密の王国のわたがしのレビュー・感想・評価

メアリーと秘密の王国(2013年製作の映画)
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 最高。ラプンツェルと同等かそれ以上の3D映画。ラプンツェルはストーリーとかテーマ的には3Dにする必然性はほぼないんで、そういう意味ではこっちのほうが優れてる。たまたまTSUTAYAのレンタル落ちで100円で買えたから観たんだけど、本当に良い買い物をした。
 誰も知らないだけで森の中には小さな戦士たちがバトってるっていうよくある話で、マクロな日常の視点からミクロな世界が広がるんだけど、3Dカメラはそのままミクロな世界をミクロな世界として捉え続ける。まるでジオラマ模型で遊んでいるような気持ち良さがあって、そのまま地上戦あり飛行戦ありで画面が楽しすぎる。
 時々書き割りショットがあるけど基本的には視差強めで世界観にどっぷり浸れる。葉とか土とか花とか、人間が普通に生活しているだけでは立体視するタイミングのない(立体視するには人間の左右の目が離れすぎているから)ものをガンガン立体的に魅せる。
 小さな生き物にとって巨大な生き物はスローに見える、みたいなところは生き物によってスピード感がバラバラで整合性微妙だけど3D的には面白いしパシリム的な感動がある。そうやって体感的に王国のリアリティの納得感を作っていく。
 そんな世界を「信じる/信じない」の葛藤でクドめの親子ドラマを執拗にやるのもダサいけど正しい。まさに正真正銘「3Dで作る意義のある映画」と思う。
 ラプンツェルのマルチリグ的なことをしているんだろうと思う。でも、中景&前景の立体メインショットにおいてラプンツェルは(ほぼ立体の必要のない)背景レイヤーでさえも薄っすら立体をつけている(背景のみもステレオ撮影しているので)のに対して、この映画は背景がただの2Dレイヤーになる。しかしラプンツェルより激しく視差付けをしているので2D感はほぼ気にならない。そんで必要ならば背景もちゃんとトータルバランスを考えて立体感をつけている。
 どういう思想で、どういう技術でステレオ撮影作業をしたのか資料がないからわからないけど、とにかく素晴らしい仕事を観た。そんで今知ったけどブルースカイアニメって最近ディズニーに潰されてたんだな。本当にもうディズニーはダメ。独占は文化の質をさげる。やめてくれ
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