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フォックスキャッチャーの708のネタバレレビュー・内容・結末

フォックスキャッチャー(2014年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

冒頭から空気感がホラーというかサスペンスなんです。画面も薄暗くて重くて。マークの家にかかってきたジョン・デュポンからの電話ですら、いい知らせのはずが不穏な雰囲気しか漂ってません。

この作品を観た後、ネトフリで配信しているドキュメンタリー「フォックスキャッチャー事件の裏側」を観たのですが、今作では事実をいろいろアレンジして脚色している部分も多いです。たとえば、ジョン・デュポンがレスリングの練習場を建てたのは母親が死んだ後だったし、ジョンが支援していたのはレスリングだけでなく、水泳やいろんなスポーツだったという感じで、事実とはちょっと異なる部分がいろいろあります。でも、映画的なまとめ方をする上では、今作のような脚色もありなんじゃないかとは思います。ネトフリのドキュメンタリーも併せて観ると、あれこれ発見があります。

この作品では殺されたデイヴ・シュルツの弟マークが、かなり前面に押し出されて主人公的になっています。金メダルを獲得しても、しょせん兄の前では二番手という、兄に対する劣等感を抱える弟という設定は、いかにもドラマの起伏を生みそうな設定です。

マークがジョンからヘロインを勧められるシーンがありますが、ジョンは統合失調症の上、普段からヘロインをやってたらしく、それゆえ幻覚や奇行が多かったらしいです。ですが、それにしてもデイヴを撃ち殺すくだりがあまりに唐突すぎるように思えました。そして、ラストでテキストで後日談の説明が入る感じも、バタバタと詰め込むようなやっつけ感がありました。

ジョンの特徴的な鼻の形を再現した特殊メイクによる役づくりも丁寧でよかったです。まったくつくりものに思えません。
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