1985年から1989年にかけて全米で放映されたテレビドラマ"The Equalizer"『ザ・シークレット・ハンター(邦題)』を下敷きにしたRichard Wenk脚本、Antoine Fuqua監督作。
オープニング
The two most important days in your life are the day you were born and the day you find out why.
-Mark Twain
"人生で一番大切な日は、生まれた日と生まれた理由が分かった日"
マーク・トウェイン
世間から素性を隠してホームマートで堅気として働くDenzel Washington演じるロバート・マッコール。
昼間は明るく気さくな普通のオジサンといった風情だが、家での行動は潔癖といえるほど几帳面に自らを律するマッコール。
夜は眠れないので、ティーパックをひとつ紙ナプキンに丁寧に包みダイナーへ。
いつもの場所に座ると、本を所定の位置へ置き、テーブルの上に用意されているフォークとナイフはメニュー立てのところへ戻す。
すると、店員さんがカップにお湯を注ぐ。
無駄のない流れるような一連の動き。
パキパキっとした編集で短くパッとパッとテンポを上げることでマッコールの潔癖めいた几帳面さが強調されて見える。
ここらへんは見ていて気持ちいい。
そしてなんと言ってもマッコールが夜な夜な通うダイナーがくそカッコイイ。
Edward Hopperの絵画"Nighthawks"を参考にしたと…確かパンフレットに書いてあった気がする。
日本には、こういう店がない。
新店舗は猫も杓子も似たような店ばかり。
作業着のおじさん達から、出勤前の水商売のお姉さん達までを受け入れる度量のお店がない。
Chloë Grace Moretz演じる高級娼婦のアリーナが出勤前にクダをまくような店を日本にも作りたい。
Ernest Hemingway著『老人と海』について、夜毎にダイナーで語り合うアリーナとマッコール。この関係…羨ましすぎる。
ひとり黄昏て読書したことは数あれど現実世界で話しかけられることなんて先ずない…。読んでる作品が悪いのかな…試しに『老人と海』にしてみようかしら⁉︎
アリーナがコールガールだということに気づくマッコール。
豚みたいな客だから他の人でお願いと頼み込むアリーナ。指名だからと、もう目の前に車を横づけされる。
涙を拭い意を決してリムジンに乗り込む。
ここの次のカットが素晴らしい。
タイヤのアップ。
タイヤを引き摺る警備員試験のための特訓をするJohnny Skourtis演じるラルフィとマッコール。
このタイヤを引き摺る音が、なんとも嫌な音で、アリーナの置かれた状況をも連想させる。
マッコール
「自分を疑えば失敗する」
◯ダイナー
マッコールとアリーナ
マッコール
「君は、なりたいものになれるんだ」
アリーナ
「あなたの世界じゃね。私のじゃ無理」
マッコール
「世界を変えろ」
アリーナ
「いつも本を?」
マッコール
「妻が読んでた。"読むべき100冊"読破が目標で97冊までいってた。私も読んで、"今度"会った時、いろいろ話そうと思ってね」
アリーナ
「いま何冊目?」
マッコール
「91冊だ」
◯洗面所
右脚の太腿に銃弾が掠めて負傷するマッコール。鍋にピュア蜂蜜を入れて沸騰させてから、蜂蜜を傷口にそのまま塗る。
これは軍隊の応急処置?CIA専用?本当に効果あるのかしら?
緊急事態の時の為に覚えておこう。
この術は…
相手が巨大すぎないか?
話がどんどん大きくなっていき、もはや国家間の争いになってないか?
国防情報局(DIA) 時代に、自らを死人として工作までして心機一転、穏やかに暮らしているはずのマッコールが、現役のDIA職員に出向いて情報もらいに行くのは…どうなんだろう?
そういうことじゃないんじゃないの?
というか…あそこまでキッチリしてる人が、無計画に殺すというか…感情に流されて殺してるようにも見えてしまう。
特にあの19秒の件り。
あれだけキッチリしてる性格なら、先に相手が何者でバックに誰がついているかまで調べてから、殺すかどうか判断するんじゃない?
David Meunier 演じるスラヴィのアジトは簡単に調べられたんだから。9800ドルでアリーナから手を引かないことに、衝動的に殺したようにも見えなくない。
さらに前のシーンで、スラヴィがお店に到着して、アジトの部屋まで歩く動線を既に見せてしまっているから、マッコールは単純に同じ動線を変装もしないで通ってきたの?それは防犯カメラの映像を回収したところで、色んなやつに見られてるじゃん?!…とシンプルに思ってしまう。
潔癖なほど細かすぎる行動をする男が、こんなルーズなことするかな?
どうせ殺すなら、もっと目立たない所でいくらでも殺せたでしょ?
さらにモスクワまで出向き、ラスボスのプーシキンまで難なく倒してしまう。
うーん…そこまでは飛躍しすぎというか…もっとこじんまりとした悪者を倒す、街の隠れヒーローでよかったのに…
終いには…
"広告サイト:逃げ場のない人へ"
そこに
「助けてください」
という書き込み。
YESと返信。
ただの何でも屋やん。
そういうことなの?
しかも、いつものダイナーにパソコン持ち込んで返信してるし…。
その店にはパソコンなんか持ち込まず、いつも通り読書しに行ってほしかった。
意味変わってくるでしょ?!
しかも超巨大組織のボスを倒したあとも、そのまま同じ土地に住んでることに驚く。
残党共に狙われないの?
あれだけ巨大組織なんだからトップ殺しただけじゃ潰れないでしょ?ビジネス自体は、誰かが必ず引き継ぐんじゃない?需要はあるわけだから。
ラスト。
街中でアリーナに簡単に見つかってお礼されるし…あんな素人に簡単に見つかるってことは、刺客からも狙われるやろ…
まぁいいか…