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スティーラーズのkuuのレビュー・感想・評価

スティーラーズ(2013年製作の映画)
3.5
『スティーラーズ』
原題Pawn Shop Chronicles.
映倫区分R15+.
製作年2013年。上映時間113分。

ウェイン・クラマー監督と主演ポール・ウォーカーが再タッグを組み、アメリカ南部を舞台に、ブラックな笑いやバイオレンスを交えながら、欲望渦巻く男たちの生き残りをかけた戦いを描いた作品。
共演にイライジャ・ウッド、マット・ディロン、ノーマン・リーダス、ブレンダン・フレイザー、ビンセント・ドノフリオほか。

冴えない質屋の店主やドラックディーラーの金を強奪しようと企む麻薬密売の仲介人、数年前に妻をさらわれた男、プレスリーを崇める無一文の芸人など、いずれもクセのある登場人物たちが、ひとつの巡り合わせによって運命を狂わされ、予測不能な方向へと転がっていく一日を描く。

米国南部。
白人至上主義者である強盗団リーダーは、ドラッグディーラーから大金を奪い取ろうとたくらんでいた。
その頃、エルヴィス・プレスリーを崇拝する巡業芸人は宗教めいたことを口走る男と出会い、妻を何者かに誘拐された過去を持つ男は女性ばかりを狙った猟奇犯と遭遇する。
一見、無関係な彼らであるが、奇妙な巡り合い、欲望や怨嗟といった感情、ヒステリックな小人、手癖の悪い料理人など、さらに奇々怪々な連中の登場によって、予想だにしなかった事態に身を投じていくことになる。。。

今作品は妙に奇妙で、次にどこにつながるんか、展開される出来事に引き込まれていきました。
しかし、今作品には多くの問題があるのは否めない。
また、そのすべてを指摘するのは簡単ではない。
技術的なレベルでは、この映画は非常に基本的なものに感じられる。
巧みな転換がいくつかあるけど(映画製作者は、シーン間の転換に反射や鏡を使うというテーマを持っていた)、
映画の大部分はちょい退屈な撮影であるとも云える。
アクションシーンじゃ、素早いズームと極端なクローズアップが多用されているけど、それ以外のシーンはあまりない。
脚本も時折、派生的なものを感じた。今作品が『パルプ・フィクション』と比較できるかどうかはともかく、今作品が『パルプ・フィクション』に触発された部分があることは確かな。
タランティーノの台詞の試みはあるが、そのほとんどが平坦だった。
特に、ロー・ドッグ(ポール・ウォーカー)とランディ(ケビン・ランキン)が、なぜ白人至上主義者なのかを話し合うシーンとか、良いものもあるけど、かなりの部分が挫折している。ドノフリオとマクブライドのシーンでは、ポルノや架空の人物を黒人にするのはいいことなのか、といった話をするけど、無理矢理感が否めない。
この映画での彼の奇妙な話し方は、どこからヒントを得たのかわからない。
ただ、こないな(失礼ながら)映画にしては、驚くほどクールなキャストが関わっているのは驚きでしたし楽しませてくれました。
もちろん、単なるカメオ出演にとどまる人(トーマス・ジェーン)もいれば、全く気付かれない人(ノーマン・リーダス)もいますが。
今作品には、映画やテレビでおなじみの顔ぶれが勢ぞろいしてました。
ポール・ウォーカー(この映画のプロデューサーでもある)は、メス犬のロー・ドッグを演じていてとても楽しかったし、マット・ディロンは、質屋で結婚指輪を見つけた後、行方不明の妻を再び探す夫を演じ、この奇妙な映画にぴったりって感じたかな。
ジョニー・ショーといい、イライジャ・ウッドも悪くなかった。
総体的には悪くない作品でした。
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