職場の大先輩の劇場映画初監督作品。原作は黒澤明はじめ何度も映像化されている芥川龍之介の「藪の中」。
天海祐希による真砂の官能や情欲が強調されていたり、「羅生門」同様真実が明らかにされていたり、検非違使が奇抜だったりはするが、基本的には、あるある感満載の原作（あるいは「羅生門」）通り。だから、まさに監督らしい映像美と簡潔な台詞ゆえ、ついつい深読みしてしまいがちになるが、内容は全く難解ではない。ただし、色だの光だの女性へのアプローチだの、監督本人をつい思い出すようなファクターは、随所に点在している。
それにしても、鏡を見ては色んな種類の笑みを浮かべる、鏡の光に犯され悶える、ギリギリまで肌を露出する、などなど、個人的にはこれまでに見た天海祐希の中で一番好き。やはり、女優さんを魅力的に撮れるというのは、監督に求められる重要な能力であることだなあと思う。
