ハレルヤ

short cutのハレルヤのレビュー・感想・評価

short cut(2011年製作の映画)
3.7
葬儀帰りの夫婦が車の故障で立ち往生。山道に迷い込んだ2人の旅と会話劇を描いたドラマ。

三谷幸喜監督作品で、僕が前日に見た「大空港2013」と同じく本作もワンカット方式で製作された作品。2時間弱ガチの一発撮り。これも本当に凄い。

キャストはほぼ中井貴一と鈴木京香の2人のみ。ちょいちょい梶原善が入り込みますが、基本的には2人の山道を練り歩きながらの会話劇だけ。

元々冷めた関係の2人。文句の言い合いから始まり、山道を進んでいくとそこが地元だった妻は田舎育ちらしく自然に順応。都会育ちの夫はひたすら右往左往。そこから互いの知らなかった面が見えてきます。

10年間結婚していたのに、この2時間だけでお互い初めて知るところが多くある。そして会話に楽しみを見出していく。逆に言うとそれまで夫婦揃って相手に対してかなりの無関心だったというのが分かります。一番良く分かるのは妻が3年も前にタバコ止めた事を夫は全く知らなかった事。

この作品を通じてやはり会話というのは大切。ほんのちょっとのキッカケで夫婦のみならず人間の関係は良い方向に変えることが出来るというのを感じさせてくれます。

その物語を全く途切れる事なく2時間繋いだ三谷幸喜の手腕も圧巻だし、演じきったキャストも凄いし、撮り方などを全て熟知してきたカメラマンも凄い。まさにプロの仕事。

後半あたりちょっとダレた気はしましたが、それでも舞台劇のような楽しみはありましたし、ラストの清々しさも素晴らしいもの。なかなかの良作でした。
ハレルヤ

ハレルヤ