ちょげみ

パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊のちょげみのレビュー・感想・評価

3.7
あらすじ
かつて海賊ジャック・スパロウに苦杯をなめさせられ、屈辱的な敗北を喫した上に呪いを受けて亡霊と化したサラザーン。
彼はジャックがコンパスを手放したことにより解放され、復讐に燃える死神と化し、海賊狩りを進めながらジャックを追跡する。
対するジャックはサラザーンが自分を追いかけているという事を耳に挟み、唯一サラザーンを撃退するということができるという伝説の秘宝「ポセイドンの槍」を探し求め、槍の手がかりを掴んでいるヘンリー・ターナーやカリーナ・スミスと共に航海に出発する。


今作は槍を探しながら逃げるジャック・スパロウとそれを追う"海の死神"サラザーンの追跡劇を描いていたけれど、今まで以上にジャックの魅力を感じさせる構成になっていたかな。

ジャック・スパロウ誕生秘話と呼ばれるエピソードから、サラザーンとの昔の確執など、20年以上に渡り海賊稼業を続けているジャックの海賊としての歴史の重さと厚さを感じされる逸話が挿入され、ある種の感慨を呼び起こされました。

そして何より、パイレーツオブカリビアンという作品はジャックが中核となっているからこそ成立しているということを(当たり前だけど)改めて実感させてくれました。
ジャックの魅力という点で言うと、今作はかなりの点で成功していると思います。
スパロウの素っ頓狂な性格と間抜けぶりが作品のアクセントとなり、情念が重く渦巻く今作に秋風のような気まぐれで爽やかなユーモアを提供していました。
シリアスムードと退廃さが通底するパイレーツオブカリビアンにおいて、一人異端とも浮いてるとも言えるジャックはやはりこの作品を貫く顔なんだなぁという事をしみじみ感じました。


亡霊は海賊を描いた作品において使い古されたアイデアだけれども、今作品においては陳腐さを(あまり)感じません。
亡霊の首領サラザーンの周囲に瘴気(?)を漂わせている独特なデザインは威圧感を備え、🦅の亡霊や🦈の亡霊など、なぜそんなものまで呪いを受けたのか、と疑問に思いたくなる生物も衝撃的なビジュアルデザインをしていて、作品に視覚的な快楽を与えていました。
他にも、金庫を盗むために馬数頭で金庫が固定された家ごと引っ張るシーンや、海が割れてポセイドンの槍が姿を現すシーンなど魅力的なシークエンスが多く、記憶には残りやすい、シリーズの中でも三本の指に入るくらいの映画だったんじゃないかなぁと思います。
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