ハレルヤ

ブロークン・トレイル 遥かなる旅路のハレルヤのレビュー・感想・評価

4.1
19世紀末のアメリカ西部が舞台。500頭の馬を売るために旅に出た老カウボーイとその甥。道中で人身売買されていた中国人の女性5人を助けたことで、トラブルに見舞われながらも旅を続けるロードムービー。

本作はTV映画として製作され、90分ずつに分けて全2話。鑑賞もDisc1で一度区切るつもりでしたが、面白かったのでそのままDisc2を再生しました。

アメリカの雄大な自然をバックに500頭の馬が疾走するシーンは圧巻。劇場公開作品に負けないくらいの壮大なスケールで約3時間展開されます。

ロバート・デュヴァルの優しさと芯の強さが見える老カウボーイの演技はまさに大御所ならでは。当時は75歳で現在はもう90歳。本作での姿を見ていたら、まだまだお元気でいてほしいですね。

個人的に本作で存在感を一番感じたのはロバートではなく、甥のトムを演じたトーマス・ヘイデン・チャーチ。普段そこまで主役を張る人ではありませんが、この映画での彼は渋さと心優しさ、そして悪を許さない正義の心を持ったカッコいい男で、かなりの魅力を感じました。

当時のアメリカでは中国から多くの女性が売られていたという事実。その残酷な実態を冒頭から見せつけてきますし、非情な運命に翻弄される女性たちに胸が押し潰されそうになります。

主人公たちはその彼女たちを偏見の目で見ること無く助けて、時間と共に家族のような関係へとなっていきます。そのドラマに深い温かみがあるのもTV映画だからこそ。普通の映画ならカットばかりで、ここまで時間掛けられないでしょう。

派手さも無いし、無駄な戦闘も無し。西部劇、ロードムービーでありながらヒューマンドラマとしての完成度も非常に高いもの。ラストもそこまで大きな感動という訳ではありませんが、味わい深い温かみが心に広がりました。

これは是非とも多くの人に見てほしい作品ですね。一見の価値は間違いなくあるでしょう。
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