福福吉吉

スティーヴン・キング 骨の袋の福福吉吉のレビュー・感想・評価

3.5
作家のマイケル・ヌーナン(ピアース・ブロスナン)は妻のジョーと仲睦まじく暮らしていた。しかし、マイケルの新作のサイン会近くでジョーは交通事故で亡くなってしまう。悲嘆にくれるマイケルに出版社が新作の依頼があり、マイケルは心機一転、ダークスコア湖の別荘へ移り、新作の製作に取り掛かる。だが、ダークスコア湖には恐ろしい過去が隠されており、マイケルは不可解な現象に巻き込まれる。

ストーリーは緩急がついており、現実的な描写に恐怖を感じさせる非現実的な描写を挟むことで、現実と虚構が交錯する世界に観ていて入り込むことができました。

虚構の部分は恐怖を感じさせるものが多く、前半ではその意味が分からないことがほとんどですが、真実に近づいていくにつれ、虚構が示していた意味が分かるようになっていて、ただの恐怖演出とは異なる重要なパーツとして成立させており、非常に面白かった。

主人公のマイケルは心の底からジョーを愛していることが全編にわたって描かれており、それがこのストーリーにも大きな意味を持っていたことで、観終わった後の爽快感を上手く生み出していると思いました。

ダークスコア湖の住民は閉鎖的ですが、その中でもマックス・デヴォアという大富豪の夫婦が全てを牛耳っており、レベルの違う悪者感が出ていて、憎たらしいキャラクターですが、ストーリー上、面白い役割を担っていました。

怖さとサスペンス的な面白さが上手く共存する作品で、なかなか面白かったと思います。
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