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アフタースクール(原題)のesのネタバレレビュー・内容・結末

アフタースクール(原題)(2008年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

2003年にmyspace、2004年にFacebook、2005年にYouTubeが設立され若者達に普及し始めた時期に25歳の監督が撮った初長編作である事を思うと色々と見方も変わってくる。特に当時のアメリカの社会背景についての知識はあった方が良いと思う。
2001年にアメリカで同時多発テロが起こり、2003年にイラク戦争が始まり多感な時期に毎日のようにショッキングな映像を浴びながら育った子供の、美化され表面上整えられたものに対する不信感や苛立ち・呆れ、そしてリアルに対する飢えのようなものを描こうとしているように感じた。

2000年代のアメリカ映画は家族という形の崩壊を描いた作品が多く、今作も親や大人の体裁を取り繕うとするだけの白々しさが描かれている。余計なものを削ぎ落とし分かりやすく見栄えを良くするための"映像の編集"という作業と、大人たちの取り繕いを重ね合わせるという発想は良かった。取り繕いとトリミングという点ではヨアヒム・トリアー監督の『母の残像』も近いものを感じる。

myspaceやFacebookの個人情報流出や監視社会が騒がれ出した頃というのもあってのラストだと思うけれど、あの描写は蛇足だったと思う。今作の意味合い的には蛇足を削ぎ落とさないことに意味があるのかもしれないけれど、最後に芯がブレてしまった。

正直嫌悪感を覚えるシーンが多いし終始不快になる描写が入るので好きな作品ではなかったけれど、時代を映し出した作品だとは思う。
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