ろく

でんきくらげのろくのレビュー・感想・評価

でんきくらげ(1970年製作の映画)
3.1
「乳首は見せないわよ、だって私女優だもん」そんな渥美マリのせりふが聞こえてきそうな快作。

監督の増村はこれでもかとエロシーンを撮るんだけど絶妙に乳首は見せない。おお、ここでも見せない。なんだって、ここでも。このカメラワークだけでも天才である(もっと才能を別なものに使ってもよかったのに)。

主役の渥美マリがどんどん悪女になるというただそれだけの話なんだけど、そこは70年代映画。悪女であっても純である(これ、菊池寛の「真珠夫人」あたりと相通じるものがある)。

最初は貞操を大事にして、それがなくなってもそんなに簡単には寝ない女。寝たければポーカーで勝たないとね。いやそこまでビッチじゃないですよ。特に犯罪も犯しているわけではないし。

金持ちジジイのパトロンになるもジジイ、風呂で急死。渥美遺産を狙う。そこで好きだった男(川津雄介)とセックスをして妊娠。「この子に相続権があるの」そうかぁ。法律を盾にきた映画なれど法律解釈は結構ガバガバなんで苦笑してしまう。平気で死刑とか言っちゃうしね。

そして最後は渥美が自立した女性として川津とも別れ、お金だけを手にして町を闊歩する。ああ、この時代にはそれはなかなかできないし魅力あるのかもしれないねとしみじみ。女性が強くなり始めた時代だものね。

名セリフ「太ももが悪いんじゃ」いいね、こんなセリフ言ってみたい。
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