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ジョン・ウィックのYYamadaのレビュー・感想・評価

ジョン・ウィック(2014年製作の映画)
3.8
【アクション映画のススメ】
〈ジャンル定義への当てはめ〉
 ▲: 心理描写より外面的な動作を重視
 ◎: 格闘・戦闘を解決の糸口とする

◆作品名:
ジョン・ウィック (2014)
◆アクション映画のジャンル
現代劇 / 犬殺しマフィアへの制裁
◆類似作品
・96時間
・Mr.ノーバディー

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・愛妻ヘレンとの出会いをきっかけに、裏社会から足を洗った殺し屋ジョン・ウィック。しかし、ヘレンは病に倒れて帰らぬ人となってしまい、ジョンは悲しみに暮れる。そんなジョンのもとに、ヘレンが生前に用意していたデイジーという名の一匹の子犬が届けられる。
・再び心に平穏を取り戻していくジョンだったが、ある日、ジョンの家に押し入ったロシアンマフィアがデイジーを殺害。生きる希望を奪われたジョンは、かつてその名を轟かせた裏社会に舞い戻り、ロシアンマフィアの組織を相手に戦いを挑む…。

〈見処〉
①見惚れるほどの、復讐。
 キアヌ3つ目の「当たり役」アクション
・『ジョン・ウィック』は、2014年に製作された、元殺し屋の壮絶な復讐劇を描いたアクション・ホラー。
・本作で主演兼製作総指揮を務めるキアヌ・リーブスの久々のヒット作品。彼の出世作のノンストップ・アクション『スピード』(1994)、SFアクションの金字塔シリーズ『マトリックス』(1999-2003)以来の3つ目の当たり役「伝説の殺し屋ジョン・ウィック」を、キアヌは約9割のスタントシーンを自身で演じている。
・監督は『マトリックス』にてキアヌのスタントダブルを務め、本作が初監督作品となるチャド・スタエルスキ。『マトリックス』以来交流のあるキアヌが本作の脚本を気に入り、チャドに映画化を掛け合ったことから、監督に登用されることになった。

②ガンフー
・本作でジョン・ウィックが見せる「ガンフー」は、GUN(銃)とKUNFU(功夫)を組み合わせた、架空の戦闘術。本作による新鋭アクションものと思いきや、古くはジョン・ウー監督の『男たちの挽歌』(1986)など香港映画で描かれていた、両手に拳銃を持って至近距離から撃ちまくるガンアクションが原点のようだ。
・その後『フェイスオフ』『M.I.2』などのジョン・ウー監督作品や『マトリックス』などのハリウッド大作のアクションスタイルとして定着。
・その代表格が、クリスチャン・ベール主演のガンアクション映画『リベリオン』(2002)。本作主人公が操る、ガンアクションと空手を融合させた架空の格闘術「ガン=カタ」が「銃と武術の融合に初めてリアリティーをもたらした作品」と後年評価されるようになったが、公開当時は「マトリックスのパクリ」イメージが先行し、興業面では惨敗を喫した。
・それから10年強。日本のアニメ、殺陣、香港映画、マカロニ・ウェスタン から影響を受けた本作のアクションは、『マトリックス』主演のキアヌ・リーブスとスタントコーディネーターを手がけていたチャド・スタエルスキ監督だからこそ、最新の「ガンフー」として確立出来たはずだ。

③結び…本作の見処は?
シリーズの「起」。全てはここから始まった。
◎: 「流れるように殺める」。『ボーン・アイデンティティ』にて流行した「スピーディーな短いカット割り」ではなく、長めの編集割りにて、接近戦で殴り倒すシークエンスは、従来の作品では『オールド・ボーイ』以降、あまり観られなかった演出。本作以降、Netflix『デアデビル』などでも見られるようになった。
◎: 殺し屋による裏世界に取り巻くコミュニティーがなかなかユニーク。とくに「コンチネンタル・ホテル」の世界観は興味深い。金貨一枚の紙幣価値が大変気になる。
▲: 終始、静かな作風。マイケル・ベイ作品が好きな方には少々物足りないかも。
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