kuu

台風一家のkuuのレビュー・感想・評価

台風一家(2011年製作の映画)
2.5
『台風一家』
製作年 2011年。上映時間 81分。

奥秀太郎監督が、薬物乱用や身障者と性の問題といった重厚なテーマを、コミカルなタッチを交えて描き出した。
って、もうちょい、薬物乱用や身障者を学んで真摯に撮ってほしかったし、胸くそ悪くなった。
昔気質で頑固な主人公の刀工を、古田新太が怪演って、もとから役風が怪演隊やん。

閉塞的な過疎地に、代々続く刀鍛冶の家元・森国義とその家族が暮らしている。
母親の佳子は、受験をひかえた息子の亀吉を勉強に専念させるため、重度の障害を持つ娘みさとを母屋から離れに移す。
しかし、人目につかなくなったのを良いことに、亀吉は夜な夜なストレスのはけ口をみさとに求め、姉弟間での性的虐待が日常化していく。
国義の下で職人見習いとして励んでいた助六は、その現場を目撃してしまい。。。

作中、森国義が助六に、何故、彼を雇ったかと云うエピソードを語ったモノに、
『何で人を刺した奴に刀をもたせるんだってな。
だから俺云ってやったんだ。
人の肉を刺した脳に刻んだ人間は、刀の痛みや怒り、苦しみや悩み、そして、その罰も経験済みだってな。』
なんて、小粋なことをぬかしてた前半部は、インモラル漂う感じで、ちょいオオッと期待はした。
また、プロットは、一つの家族(中心)に対して、半径が異なる円で、樹の年輪などのように幾層にも囲まれて、周りの人を巻き込んで次第に大きな渦となって悲惨な状況を描きたいのはわかる。
それに反比例して、物語の広がりがなく、後半になっと、何を描きたいのか、それすら見失い描ききれず焦った展開で、唐突展開インディーズパターンが強くなった。
観ていてサムくすらなった。
いっそのこと、悪霊やら、地縛霊なんか織り混ぜてホラーにしたらよかったのに。
古田新太が刀をもって退魔師になり闘うとか(実際、作中ではポンコツに変身したしどうしようもない)。
オン・アビラ・ウンケンほにゃららって呪(しゅ)を云いながら闘う古田新太でエエやん。
まぁ、そしたら、初めてから今作品を再生して見ることはなかったのに。
期待した物語じゃなかった。
六助君は何がしたかったのか、全てにおいて中途半端。
唯一の星、助六くんも結局なんやったんか。。。
ハッピーエンド、とまでは云わないけど、それなりにヲチを(障害を持つ姉が描いた同心円でそれなりに暗喩はしてるとおもうが)と云うかケリがつく迄もっていってくれ、身障者にたいしての真摯な向き合いかたをしてくれてたなら、善きインディーズ映画の可能性秘めてたのに残念。
結局、昔の夜店の差別ギンギン見世物小屋を想像させ、勘違いリアリティーモノになってしまってた。
古田新太も嫌いではない俳優ではあるが、素人臭い俳優陣の中で、一番素人臭い演技やった。
鉄は熱いうちに打て!
そんなんじゃナマクラな刀しか打てん。
嗚呼、ナマクラな映画やし仕方ないかぁ。
kuu

kuu