MasaichiYaguchi

K2 初登頂の真実のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

K2 初登頂の真実(2012年製作の映画)
2.9
1954年に世界最高峰のエべレストより登頂困難なK2初登頂に成功したイタリア隊の舞台裏をフィクションを交えて描いた作品。
イタリア・ミラノのデジオ教授はK2初登頂を成し遂げる為にアルピニストたちを集める。
集まったのは、血気盛んな若者、妻子持ちの男、憧れの娘と結ばれようと参加する者等、境遇や抱える事情も様々な男達。
デジオ教授は、その中から選抜して最強の遠征隊を編成する。
遠征隊を指揮するこの教授は功利主義、現実主義の持ち主。
その下には、隊の中でずば抜けた強靭な足腰と精神力を持ちながら、その才能ゆえに独りよがりでチームワークを乱すボナッティや、戦時中に負ったトラウマを抱えてK2に挑むマリオ、K2初登頂成功で婚約者のハートをがっちり掴もうとしているリーノ等がいる。
段々山の高度が上がるにつれ、夫々の思惑が「負の面」を伴って顔を出していく。
この作品は、K2初登頂という偉業の裏で繰り広げられた群像劇なのだが、最大の山場である登頂成功を含め、一つ一つのエピソードがいまいち心に響かない。
その理由は、登場する人物一人一人に深みがなく、類型的なので共感を覚えないし、同様に夫々のエピソードも、この手の作品ではありふれていて既視感を覚える。
初登頂までの艱難辛苦、登頂アタックにおける人々の暗闘も描かれているが、インパクトが無い。
K2初登頂での人間ドラマという興味深い題材ながら、人間の欲や業、名誉や使命、義務といったものを平板に羅列しているだけでは、「だから何なの?何が言いたいの?」と思ってしまう。