千年女優

いま、輝くときにの千年女優のレビュー・感想・評価

いま、輝くときに(2013年製作の映画)
4.5
母子家庭に育った目立つ立場の男子高生で、相性の良いキャシディとの恋愛を謳歌するも浮気を疑われてフラれてしまったサッター・キーリー。酒に溺れる日々の中、SFオタクの真面目な女子高生エイミーと出逢った彼が、元恋人への未練を捨てきれぬままに彼女と交際を始めて、高校卒業控えたモラトリアムを過ごす様を描いた青春映画です。

ティム・サープ執筆のヤングアダルト小説を『(500)日のサマー』の脚本家コンビで映画化した作品で、監督は当初予定されていた同作のマーク・ウェブからジェームズ・ポンソルトへと変更されましたが、本作をきっかけにブレイクしたマイルズ・テラーやシャイリーン・ウッドリー、ブリー・ラーソンらの瑞々しい演技が高く評価されました。

劇的な物語の多いYA原作にあって、SFやファンタジーに頼らず、愛や夢や悩みを誇張せず、郷愁や死を口実に青春を宝箱に閉じ込めたりもしない実直なお話です。過去は厳然たる事実としてあり、未来は不透明で、残酷に流れる時間の中、人とはすれ違い、進まなければ置いていかれる。そんな人生そのものを描く、最も普遍に近いYA映画です。
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