かたゆき

ザ・ベイのかたゆきのレビュー・感想・評価

ザ・ベイ(2012年製作の映画)
3.0
2009年、7月4日。
穏やかな港湾に面したアメリカの地方都市クラリッジはその日、独立記念日の祭典に沸いていた。
花火が打ち上げられ、たくさんの屋台が道路に軒を連ね、海岸ではカニ早食い競争が開催されていた。
人々は朝からビールを飲み、そんな平和な夏の休日を満喫していたのだった。
だが…、彼らはまだ知らない。
海に隣接する大きな養鶏場から連日のように廃棄される鶏の糞には危険な科学物質が大量に含まれていて、さらにはそんな危険物質を含んだ海水が市の“海水淡水化事業”により、人々の飲み水として大量に供給されていたことを――。
化学物質の影響で突然変異を起こした恐ろしい寄生虫によって、突如として阿鼻叫喚の地獄絵図へと変貌してしまった港湾都市の悲劇を、遺された大量の映像で再構築して見せるモンスター・パニック作品。

こういうジャンルにありがちな所謂フェイク・ドキュメンタリーというスタイルで撮られた作品なのですが、そこはさすがアカデミー賞の栄誉に輝くバリー・レヴィンソン監督。
取材していたテレビカメラの映像や、監視カメラ、実家へと帰省する若い夫婦のプライベートビデオ、パトカーの記録映像、当事者によってネットへと投稿された動画などなど、様々なフェイク映像を抜群の編集センスによって繋ぎ合わせることで、この手の作品によくある“視点が最後まで変わらないのでストーリー展開が単調になりがち”という弱点を見事に克服しておりました。
最後まで全く緊張感を途切れさせずに見せ切るこのサスペンスフルなストーリーはなかなかのクオリティ。
被害者の身体の中や魚の体内に蠢く寄生虫たちの見ているだけで鳥肌立ちまくりの悶絶気持ち悪さといったら、もうトラウマもの!!
それに群像劇としてもなかなか良く出来ていたんじゃないでしょうか。

ただ、「これからこの超気持ち悪~いこいつらが大量発生して生き残った人々をさらに殺し捲るんだろー。もうヤバいってーー!」とワクワクしながら観ていたのですが、最後はけっこう呆気なく終わっちゃったのが残念!
こういうモンスター・パニックもののクライマックスは、やっぱりもっとやり過ぎってくらい無茶苦茶な阿鼻叫喚にしてもらわないと。
と、そこだけ残念ではありましたけれど、全体的には気軽に観られるB級パニック映画として、僕は充分楽しめました。
ただ、これから食事しようという方(特に魚料理!笑)は観ない方がいいかもね~。
確実に食欲がなくなります!!
かたゆき

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