がちゃん

実録不良少女 姦のがちゃんのレビュー・感想・評価

実録不良少女 姦(1977年製作の映画)
3.2
アメリカでは、アンハッピーエンドがテーマとなっていたアメリカンニューシネマの潮流も、『ロッキー』(1976)や『スターウォーズ』(1977)などのハッピーエンド主義の復活と共に徐々に消えていき、ベトナム戦争がもたらした暗い影をも追い払われようとしていましたが、日本での青春映画は相変わらず暗く内向的な作品が作り続けられていた1977年(昭和52年)という時期。

本作も、そんな暗いやり場のない憂鬱をギュッと濃縮した作品になっております。

港マコによる自叙伝的本である、「横浜ざんげ録」を、藤田敏八監督が演出しました。

16歳で妊娠、出産をした少女マコ。
アンパン、恐喝、カツアゲなど不良行為を繰り返す日常を送っている。

出産した子供の相手は、いわゆるヒモ男で、経済力などまるでない。
さらに子供は、実家の両親に取り上げられてしまう始末。

場末のスナックでホステスとして働いていたマコは、ある晩、店に来ていた公務員の男がその店で金を払わず無銭飲食をして逃げてしまう現場に出くわす。
そこでマコは、不良仲間の男友達と共謀してその公務員を恐喝して金を巻き上げようとするのだが・・・

マコの自堕落ながらどこか芯のあるところが垣間見れる、主演の日夏たよりが不思議な存在感を見せる。

男を取った取られたというありふれた理由での、少女同士のタイマン勝負シーンがあるのですが、ここでマコが相手の少女にとどめを刺してしまうシーンが凄まじい。
ダウナーな雰囲気で展開する本作ですが、このシーンは強烈なアッパーシーンとなる。

マコを妊娠させたヒモ男に内田裕也。
人生に対して無責任を決め込むいい加減な男。
ハマってます。

マコは性に関しても奔放で、中学時代の恩師とも関係を持ってしまう。
その恩師も、行動にどこか逃げを打つズルい男なのだが、この役に岸部一徳がハマる。
適当な優男なんだ。

カラー作品なのに、どこか愁いを帯びた深いモノクロの印象を残す。
敏八節がここにもある。

音楽を、「CREATION(クリエーション)」が担当しているところにセンスを感じます。

日活ロマンポルノ作品ですので、2~30分に1回濡れ場がありますので、苦手な方はご注意を。
(この時代、一般映画でも濡れ場は多かったですがね・・・)
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