Omizu

秋菊の物語のOmizuのレビュー・感想・評価

秋菊の物語(1992年製作の映画)
3.8
【第49回ヴェネツィア映画祭 金獅子賞】
『初恋のきた道』などの巨匠チャン・イーモウ監督作品。主演はおなじみコン・リー。ヴェネツィア映画祭コンペに出品され、最高賞と女優賞を受賞した。

チャン・イーモウといえば『紅いコーリャン』にみられるような激しいイメージだった。しかし本作はリアリズムに徹した静かな作品。『紅いコーリャン』とのギャップに驚いた。

夫が村長に蹴られたことを訴え出た妻が予期せぬ方向に導かれていく様をリアリティのある描写で撮っている。期待していたものではなかったが、これはこれで素晴らしい作品であった。

イーモウの初期にみられる赤く染まった画面は本作も同じ。広大な自然と美しい撮影がいい。ロケーションの地点でこれは勝ちだった。

ささいな出来事(本人たちにはそうではないが)がどんどん大事になっていくのは風刺的でもある。誤ってほしいだけなのに法律、弁護士などによって事態を広げられていってしまう。イーモウは最初コメディにしたかったようだが、それも分かる。

素晴らしいとは思うが、コン・リーが女優賞をとったのは謎。そこまでの演技だとは感じなかった。この回は女性主演が少なかったのかな?
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