塔の上のカバンツェル

フューリーの塔の上のカバンツェルのレビュー・感想・評価

フューリー(2014年製作の映画)
3.6
ミリタリアクションメインの戦車映画。

俺たちのM4A3シャーマンvsティーガーの夢の対決的なプロセス要素が今作の最大の醍醐味とも。
戦争への反戦思想とか、その辺の論理的メッセージは期待してはいけない。

公開当初はレーザービームかよ、とか一般層から突っ込みを受けた、栄光弾表現も何気に新鮮な戦闘表現だったと思う。

全編ドイツ兵が"やられ役"に徹していているので、ブラピを引き立てる以上の意味づけは彼らにないです。

ただ、今作の最大の目玉であるティガー戦は、現状世界唯一と言える稼働する実写ティーガーの勇姿。
万能高射砲88mm砲の火力でシャーマンの有効レンジ外から一方的に袋叩きにできるティーガーの火力に、実際の戦闘でもキルレ1:4とシャーマン他西側連合軍がティーガーと対戦する際は複数車の物量で押すしかなった状況を、本作でも描かれている。
白煙弾で目眩しした上で、3両で詰めていく戦闘では、弾薬庫に誘爆して砲塔が吹き飛ぶなど、戦車戦の派手さは一見の価値あり。
ティーガーの硬さに絶望するGIのお辛いとことか、見応えある戦車戦ができるんだから、ロシア製作の傑作戦車映画「T-34」みたいにシャーマンvsドイツ戦車総ラインナップでやればいいのに。
このティーガー戦以降は、市街地戦や対戦車砲との戦闘など、対人戦闘メインなんで惜しいなぁ…。


一番好きなシーンは、戦車戦シーンではなく、進軍するシャーマンの車列の高高度頭上を、連合軍の爆撃機編隊の無数の飛行機雲に、ルフトヴァッファのたった数機の飛行機雲が迎撃に向かっているシーン。
ドイツ末期の絶望感が伝わってきてこのシーンは手放しに好きと言える。